山陽新聞デジタル|さんデジ

玉野市民病院、経営再建は道半ば 平成博愛会と業務提携3年

昨年12月、退院前に一時帰宅した男性宅の浴場を、訪問指導で男性と一緒に確認する市民病院のスタッフ
昨年12月、退院前に一時帰宅した男性宅の浴場を、訪問指導で男性と一緒に確認する市民病院のスタッフ
 赤字経営が続く玉野市立市民病院の立て直しへ、市が病院再建に実績を持つ医療法人・平成博愛会(徳島市)と業務提携を結んで21日で丸3年となる。医療面では平成博愛会が持つ、リハビリを充実させ患者の早期在宅復帰を図るノウハウを取り入れて、国の評価基準を上回る質の高い医療を実現。経営面では収益構造の転換で赤字が減ってきたものの黒字転換には至っておらず、再建は道半ばだ。

 脳出血で左半身まひとなった男性患者(77)が昨年12月、つえをつきながら3カ月ぶりに玉野市の自宅に戻ると、晴れやかな表情を浮かべた。

 男性が岡山市の専門医療機関へ救急搬送されたのは昨年9月。そのまま治療を受け、10月に市民病院へ転院した。市民病院では早期在宅復帰を目指す「回復期リハビリ病棟」で、排せつに伴うズボンの上げ下ろしや食べ物を飲み込む機能の訓練に励んだ。

 この日は退院後を見据えた一時帰宅。男性は作業療法士や理学療法士らと一緒に安全に入浴できるか、トイレに行けるかを確かめ、2階への階段を上り下りして手すりを取り付ける位置を決めた。

 自宅復帰が視野に入った男性は「もっと自分のことができるようにリハビリを頑張る」、夫の様子を見守っていた妻(74)も「安心した」と喜んだ。

スタッフ3倍

 退院後のことを考えて回復期リハビリ病棟のスタッフが自宅を確認する「退院前訪問指導」。市民病院で希望する患者全員にできるようになったのは、平成博愛会の指導で人員を手厚くしてから。リハビリ科のスタッフは業務提携する前の3倍、30人に増えた。「患者や家族が自宅で再び生活できるイメージを持つ効果は大きく、早期退院に前向きな人が多くなった」と作業療法士の森本康弘さん(39)。

 回復期リハビリ病棟では脳血管疾患や骨折などで専門的医療を受けた後、在宅復帰にはまだ体の機能が回復していない患者を受け入れる。市民病院の重症患者の回復率は70%前後。国の定めた30%以上より高く、その治療実績から病院が受け取る診療報酬は6段階ある中で最も高額の「入院料1」だ。

 岡山県内では入院料1の病院は15施設あるが、岡山、倉敷市以外では玉野市と勝央町のみ。山原茂裕院長は「高齢社会の今、リハビリの重要性は高まっている。寝たきりを防ぎ元気に自宅復帰できるよう、医療の質を高めていく」と話す。

包括ケア病床

 市民病院では経営改善に向け、回復期リハビリ病棟だけでなく、発熱などで自宅療養に不安がある人らを受け入れる地域包括ケア病床を新設し、患者1人につき受け取れる診療報酬を増やす取り組みを進めた。

 本業のもうけを示す営業利益に当たる医業収益は、平成博愛会と提携する前の2015年度の約15億円から17年度は19億円余りに増え、赤字は15年度から2億円弱圧縮した。それでも17年度は3億円余りの赤字で、黒字転換には一層の取り組みが求められる。

 西村薫三病院事業管理者は「良い医療の提供により市民病院を選ぶ人が増えていく好循環で収支を安定させたい」と話す。

(2019年02月14日 07時03分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ