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【再掲載】「歌う旅人」被災地癒やす 男性デュオ・imim 真備で活動

倉敷市真備町箭田地区でのイベントで息の合ったハーモニーを響かせるimim
倉敷市真備町箭田地区でのイベントで息の合ったハーモニーを響かせるimim
片付け作業の合間に被災地への思いを語るkenさん(左)とkoheiさん
片付け作業の合間に被災地への思いを語るkenさん(左)とkoheiさん
 【2018年11月20日配信】 西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区で、2人の“歌う旅人”が復興支援活動を続けている。手にはスコップ、そしてマイク。神奈川県出身の男性デュオ「imim(いむいむ)」だ。路上ライブで全国を回る旅の途中、被災地の現実を知り、足を止めた。家屋の片付けなどを手伝いながら地域の催しで歌い、癒やしを届けている。

 赤がイメージカラーのkohei(こうへい)さん(29)と、白のken(けん)さん(28)。高校の同級生で2012年、関東を拠点にデュオでの活動を始め、美しいハーモニーを持ち味にしたJ―POPのアルバム3枚(ミニアルバム含む)をリリースしている。紅白歌合戦出場を目標に「全国の人とつながりたい」と今年4月、車に寝袋を積んで路上ライブの旅に出た。

◇スコップとマイク手に

 そのさなかの7月、西日本豪雨が発生。所属事務所の呼び掛けでボランティアに参加し8月上旬、真備に入った。

 路上に積まれたがれきの山、泥に覆われた田んぼ、家の中にはひっくり返ったたんすや冷蔵庫、運び出そうにも水を吸いずっしりと重い畳…。80歳を超えているだろうか。たった1人で片付けているおじいさんもいた。

 数日間の活動を終え、いったん真備を離れたが、水害に壊されたまちの姿を忘れられず「戻ろう」と決意した。

 8月下旬から自主的に真備でのボランティアを再開した。初めて歌ったのは9月中旬、炊き出しイベントの場だった。民家のガレージに20人ほどが集まっていた。「上を向いて歩こう」「幸せなら手をたたこう」「ハナミズキ」といったおなじみの曲のほか、自分たちのオリジナル曲も披露した。観客には年配の人も多かったが、「定期的にライブをしてほしい」とリクエストされるほど好評だった。

 「ここでは今、娯楽が必要とされている」。そう実感した2人は復旧作業を手伝いながら、復興イベントなどで30回以上歌ってきた。空き時間には地域を回り、住民と語り合う。「ユーチューバー」でもあり、被災地の現状を伝え、災害の記憶を風化させないよう、ビデオカメラで真備の様子を撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で世界に発信している。

◇「真備で応援し紅白に」

 そんな2人は地域にすっかり溶け込んでいるようだ。自宅が全壊しトレーラーハウスの仮設住宅で暮らしている山崎光夫さん(81)は「孫のように思っているよ。しゅんとしているところを盛り上げてくれ、頑張ろうという気になる。ありがとう」と感謝する。

 高齢者施設に勤める仲山勝子さん(56)も2人のファン。「心に染みる歌。車でCDを聴きながら出勤しています。第二のコブクロになってほしい」と言う。

 「若い人の歌じゃけどライブしてくれて、『うわぁ、いい声なさってすてきじゃなあ』と思ったんよ。ルーペで歌詞カードを見ながら覚えとるんよ」と話すのは片岡澄子さん(81)。imimのナンバーでは「とくべつ」がお気に入りだ。

 <♪あなたが側(そば)に居(い)るから僕は強くなれるよ>

 そんな歌詞に片岡さんは「私らも力を合わせていけばいい」と励まされているという。

 10月下旬、真備町箭田地区で、被災した高齢者の支援と住民の交流を図るイベントが開かれた。imimの歌声に聞き入るお年寄りや家族連れら。ライブの後、2人がボランティアで訪れている小規模多機能ホーム「ぶどうの家真備」(真備町箭田)の津田由紀子代表が「真備のみんなで応援し、紅白に出そう」と呼び掛け、会場から拍手がわき起こった。

 仕事で関東との間を行き来しながら、しばらくは真備での活動を続けるという2人。「歌で喜んでもらうことが僕らの原点。いつか真備での経験を歌にして心の復興支援につなげていきたい」と話している。

(2019年07月10日 20時03分 更新)

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