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吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)

「吉備の中山」のふもとに鎮座する吉備津彦神社
「吉備の中山」のふもとに鎮座する吉備津彦神社
吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)
かしわ手の音が清々しく鳴り響く拝殿
かしわ手の音が清々しく鳴り響く拝殿
備前刀「上野大掾祐定」。2019 (平成31)年3月に県の重要文化財に指定された。御神刀名「桃太郎祐定」
備前刀「上野大掾祐定」。2019 (平成31)年3月に県の重要文化財に指定された。御神刀名「桃太郎祐定」
子授けの神様として崇敬のあつい子安神社
子授けの神様として崇敬のあつい子安神社
桜越しの愛らしい桃太郎像
桜越しの愛らしい桃太郎像
温羅命の和魂を祀る温羅神社
温羅命の和魂を祀る温羅神社
桃太郎と鬼(茶屋町の鬼保存会)が共に豆投げをする節分祭
桃太郎と鬼(茶屋町の鬼保存会)が共に豆投げをする節分祭
秋季例大祭・流鏑馬神事(岡山市指定重要無形民俗文化財)
秋季例大祭・流鏑馬神事(岡山市指定重要無形民俗文化財)
御田植祭(岡山県指定重要無形民俗文化財)
御田植祭(岡山県指定重要無形民俗文化財)
同神社と由縁の深い池田家の家紋旗と共に演武を披露する備州岡山城鉄砲隊
同神社と由縁の深い池田家の家紋旗と共に演武を披露する備州岡山城鉄砲隊
初實剣理方一流甲冑抜刀術
初實剣理方一流甲冑抜刀術
桃太郎伝説、備前刀のふるさとの一宮備前国一宮<歴史>「吉備の中山」に抱かれる歴史深い神社 古代より、古今集にもその名を連ねる「吉備の中山」。神の依代とされる巨大な磐座や、神域を示す巨石群である磐境が今も残る。豊かな自然と神秘の宿るそのふもとに、吉備津彦神社は鎮座する。 ご祭神として祀られているのは、第10代崇神天皇の御代、大和朝廷の命により四道将軍として遣わされ、吉備国を平定したといわれる大吉備津彦命。昔話「桃太郎」のモデルとしても有名である。大吉備津彦命の屋敷跡に社殿が建てられたのが、同神社の始まりとされ、桃太郎の故郷の一宮として、また備前刀のふるさとの一宮としても知られている。大吉備津彦命に奉納された刀である御神刀名「桃太郎祐定(通称:桃祐)」は、備前刀の名工・上野大掾祐定が1666(寛文6)年に作刀。岡山藩士で剣術家の茨木安大夫により同神社に奉納された。光に照らされると神秘的な「神心乱」の刃紋を映し出す刀で、神の御力により人心を平らかにするという平和への祈りが込められていると伝えられている。 吉備国が備前・備中・備後・美作と分かれてからは「備前国一宮」と呼ばれ、備前国の総氏神として長年親しまれている、歴史の深い神社である。古くから歴代の岡山藩主の崇敬あつく、境内には輝武命(池田信輝公)と火星照命(池田輝政公)をお祀りしており、社領の寄進やご社殿の再建が行われた。ご本殿の北に位置する子安神社(市指定重要文化財)は、特に池田家との縁が深い。子宝に恵まれなかった岡山藩主・池田利隆公が名君として有名な光政公の誕生を慶び創建したことから、子授け、安産の神として崇敬を集めている。近年も、子授け・安産や縁結びのご利益があると、特に若い人の参拝が増えている。 2018(平成30)年5月に、「『桃太郎伝説』の生まれたまちおかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語」が日本遺産に認定。物語を構成する27の文化財のひとつに同神社が選ばれている。<境内案内>門前に神池を備えご本殿は「三間社流造り」 参道の正面には石造りの大鳥居がそびえている。その左右には、巨大な備前焼の狛犬が控える。鳥居を抜けると両脇に神池が広がっており、住吉神を祀った鶴島、宗像神を祀った亀島など、神秘的な風情に包まれている。やがて荘厳なたたずまいの随神門が現れ、その下をくぐると左右に11メートルもの高さを誇る日本一の大石燈籠が姿を見せる。市の重要文化財に指定されており、大晦日とお正月の夜には、大石燈籠を色鮮やかな光が照らすプロジェクションマッピングが行なわれることでも知られている。 社務所のそばには無患子という木がある。子どもの病気除けとしてこの木の実を持ち帰る人が多い。また拝殿前には樹齢千年以上のご神木(平安杉)がそびえ立っている。 ご本殿は神社建築の伝統とされ、流麗で品格ある趣の「三間社流造り」である。これは1668(寛文8)年に池田光政公が造営に着手し、息子・綱政公が1697(元禄10)年に完成させたもので、県の重要文化財の指定を受けている。 同神社のご社殿は、夏至の朝日が正面鳥居より昇り、その光が拝殿内に差し込むように建てられたといわれている。夏至の日には「日の出祭」が行われる。 ほか、吉備国に製鉄などの様々な文化をもたらした温羅命の和魂を祀る温羅神社や、大吉備津彦命が吉備国を平定する際に活躍した従者を祀る楽御崎神社、尺御崎神社などが境内に鎮座している。<年間行事>同神社特有の行事が見どころ 2月3日に行われる「節分祭」では、桃太郎と鬼(茶屋町の鬼保存会)が共に豆を投げるという全国的にも珍しい光景が見られる。これは温羅命の和魂を祀る温羅神社を摂末社に持つ同神社ならではのもの。争いあった者同士でも手を携えて協力しあっていきたいという平和への願いが込められている。 5月5日のこどもの日には、子どもの健やかな成長を祈願して「子安神社例大祭・こどもまつり」が行われる。2018(平成30)年からは、岡山藩主・池田家とのつながりが深い同神社において、備州岡山城鉄砲隊による鉄砲の展示や甲冑着付け体験を開催。江戸時代から現代までの甲冑を身に付け、重みを体感することができる。また、岡山県に伝わる抜刀術の流派・初實剣理方一流甲冑抜刀術も披露される。甲冑を着用した状態で、備前刀による巻藁の試し切りが行われ、参拝客からは感嘆の声が上がるという。また、うらじゃ踊りや、子ども備中神楽の奉納も行われ、岡山の歴史や文化が集った。 5月の第2日曜日には「磐座祭」が開催される。吉備の中山の磐座で神事を行ない、大吉備津彦命の御陵とされる中山茶臼山古墳(宮内庁管理)にお参りするもので、だれでも参加できるため毎年多くの参拝者でにぎわう。 ほか同神社特有の祭事としては、五穀豊穣を祈願する8月2・3日の「御田植祭」が有名。2日夜10時から「御斗代神事」が行われ、暗闇の中で神事が行われる。翌3日には、まるで舟の帆のような御幡を持ち並ぶ行列があり、御幡についている扇を奪い合う。両日とも行われる早乙女による田舞の奉納も見どころ。 また、秋季の例大祭では「流鏑馬神事」が風や水の災いを防ぐ祈願を込めて行われ、鶴島、亀島の方角に矢が射られる。同神社とご神縁深い備州岡山城鉄砲隊による岡山の除災招福を祈願した砲術神事も行われる。このように、年間を通じて桃太郎伝説や武道を始めとする岡山の歴史・文化にまつわる神事が多いことも同神社の特徴である。<お守り・授与品>愛らしく身につけやすい多彩なお守り 同神社の授与品は、桃太郎にちなんだ桃のお守りやおみくじが多い。 「子授け守」には波千鳥の文様が刺繍されている。表には荒波を共に乗り越えてゆく夫婦二羽の千鳥と、子どもの千鳥。下部には吉備のワラビも刺繍されており、これは天皇家に献上されたところ男児が生まれたという故事から子宝のご利益があるとされているもの。ワラビは境内の子安神社のそばにも自生している。このお守りには表面に「子授け」といった文言が刺繍されていないので、人目を気にすることなく身につけやすいと、男性にも評判が良い。 「八方除守」は、邪気を払うとされる麻の生地に、麻の葉の模様を八角形に配したモチーフが刺繍されている全国的に珍しいお守りだ。 二体一組の「縁結び守り」は、紅白二色が鮮やかだ。「幸せ祈願」という祈祷をしてもらうと、片方は自分で身につけ、もう一方を神社で一年間預かってもらうことができる。実際に良縁に恵まれたと、預けていたお守りを受けに来る人も多いそうだ。 ほかにも川を流れる桃がデザインされた御朱印帳や、ころんとした可愛らしい陶器製の白桃みくじなどが人気を集めている。ご案内住所/〒701-1211 岡山市北区一宮1043TEL/086-284-0031 [通年]開門6:00 閉門18:00 [正月三が日]閉門21:00※駐車場もこれに準ずる。交通/山陽自動車道・吉備SA内スマートIC、または岡山ICから車で15分。JR桃太郎線・備前一宮駅から徒歩3分HPアドレス/http://www.kibitsuhiko.or.jp/ご祭神/大吉備津彦命 ほか創建/不明ご利益等/家内安全、商売繁盛、交通安全、厄除け、八方除け、縁結び、子授け、安産、初宮詣、七五三、歳祝い、病気平癒 ほか代表的宝物/ご本殿(県指定重要文化財)、子安神社・随神門・大石燈籠(市指定重要文化財)、太刀-井上眞改(国指定重要文化財)、上野大掾祐定(県指定重要文化財)、伝天国宝剣、弓、甲冑、膳、紙本淡彩神事絵巻 ほか年間行事毎月1日/月次祭1月1日/歳旦祭2月3日/節分祭5月5日(子どもの日)/子安神社例大祭5月第2日曜日/磐座祭夏至の日(6月)/日の出祭8月2・3日/御田植祭10月第3土・日曜日/例大祭・流鏑馬神事12月31日/除夜祭
【ここも! 見どころ発見】たかきび団子 同神社の参道には「吉備のおかげ茶屋」がある。名物は岡山県産の穀物「たかきび」を使った「たかきび団子」。たかきび特有の赤茶色をした団子に、あっさりとしたみたらしのたれがかかっており、懐かしい味が魅力。岡山県産の清水白桃を使った「ピーチサイダー」も人気だ。

(2019年06月21日 06時20分 更新)

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