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「悪は存在しない」(2023年、日本) ギリギリの均衡が崩れる時

 シネじい ゴールデンウイーク気分に浮かれて「キラー・ナマケモノ」「ゴジラxコング 新たなる帝国」という、おバカな映画を相次いで見た。その勢いで、今回も「猿の惑星/キングダム」を取り上げようかと思ったが、このままこんな映画ばかり見て喜んでいると私はだめになってしまう、と反省。

 黒じい もう手遅れかも(笑)。

 シネじい もっと歯ごたえのある映画を見ないといけないと思ったのだよ。

 黒じい そうそう。猿に先導されて「WHAT A WONDERFUL DAY! WHAT A WONDERFUL DAY! WHAT A WONDERFUL DAY!」と繰り返している場合じゃないぞ(笑)。あっ、これは予告編で見ました。

 シネじい 正気に返りたいときにはシネマ・クレール推し(笑)。今回は、濱口竜介監督の「悪は存在しない」を取り上げることにしました。

 黒じい 昨年の第80回ベネチア国際映画祭で、最高賞・金獅子賞に次ぐ銀獅子賞(審査員大賞)に選ばれた作品だね。

 シネじい 舞台は長野県の高原、自然豊かな水挽町(みずびきちょう)。葉を落とした木々を仰ぎ見ながら進むショットが、石橋英子の不穏な音楽とともに続き、突然音楽がストップ。原題のアルファベットのタイトルの感じもどこかジャンリュック・ゴダール作品を想起させ、ちょっと居心地が悪いな、と思ったらやっぱり…(笑)。

 黒じい それは、この作品、一筋縄ではいかないぞ、という意味だな。東京から近い水挽町は、雪が積もり、池は凍っている自然の厳しそうな場所だ。流れる清水をくんでうどん屋を営む移住者や、まきを割ったり、その清水くみを手伝ったりして暮らす巧(大美賀均)とその娘・花(西川玲)もいる。

 シネじい そんな人々が静かに暮らす集落が突然巻き起こったグランピング施設の開発話に揺れることになる。...
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(2024年05月14日 11時30分 更新)

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