インボイス制度 零細事業者に目配り必要
消費税のインボイス(適格請求書)制度が来月1日から始まる。適正な納税を目指して導入される制度だが、これまで納税を免除されてきた「免税事業者」は、制度に参加しなければ取引が打ち切られるのでは、と不安の声が上がっている。零細事業者が取引先から不当な扱いを受けないよう、行政は目配りをきかせてもらいたい。
消費税を納める企業は、仕入れの際に支払った消費税分を差し引くことができる。その際に新制度では、税率や税額を記したインボイスと呼ばれる請求書類が求められる。消費税に10%と8%の複数税率が採用され、正確な金額を計算するために必要とされる制度である。複数税率となっている国の多くで導入されている。
問題は、インボイスを発行できるのが「課税事業者」に限られることである。年間売上高1千万円以下の免税事業者が課税事業者に転じれば、新たに税を支払わねばならない。個人事業主やフリーランスの中には、負担を重く感じる人もいるだろう。
免税事業者のままでいることも可能だが、その場合は発注元が仕入れ分の消費税額を控除できなくなり、税負担が増える=図。このためインボイスを発行できない事業者は、取引を打ち切られたり、値下げを要求されたりすることが懸念されている。
国税庁によると、免税から課税事業者への転換件数は8月末時点で約103万件だった。課税事業者になり得る事業者は約160万件とする推計があり、転換を迷っている事業者は相当数に上るとみられる。
だが、転換はあくまでも任意であり、課税事業者にならないからといって発注元が一方的に取引を停止したりするのは独占禁止法などに触れる可能性がある。インボイス制度を巡り、日本たばこ産業(JT)が免税の葉タバコ農家に一方的に買い取り価格の引き下げを通告したケースでは、公正取引委員会が注意を行った。他にもイラストレーターやハンドメード作家、翻訳者との取引で同様の行為が報告されている。いずれも立場の弱い零細事業者だ。関係機関は今後も取引実態を調査して、悪質な事案には厳しく対処することが求められる。
政府は激変緩和の経過措置として、課税転換した事業者の税負担を軽減する特例や、免税のままインボイスを発行しない事業者と取引する発注元の税負担を抑える特例を設けている。会計ソフトの導入などを支援する補助金もある。こうした制度も周知しながら、零細事業者の不安払拭に努めてもらいたい。
消費税を納める企業は、仕入れの際に支払った消費税分を差し引くことができる。その際に新制度では、税率や税額を記したインボイスと呼ばれる請求書類が求められる。消費税に10%と8%の複数税率が採用され、正確な金額を計算するために必要とされる制度である。複数税率となっている国の多くで導入されている。
問題は、インボイスを発行できるのが「課税事業者」に限られることである。年間売上高1千万円以下の免税事業者が課税事業者に転じれば、新たに税を支払わねばならない。個人事業主やフリーランスの中には、負担を重く感じる人もいるだろう。
免税事業者のままでいることも可能だが、その場合は発注元が仕入れ分の消費税額を控除できなくなり、税負担が増える=図。このためインボイスを発行できない事業者は、取引を打ち切られたり、値下げを要求されたりすることが懸念されている。
国税庁によると、免税から課税事業者への転換件数は8月末時点で約103万件だった。課税事業者になり得る事業者は約160万件とする推計があり、転換を迷っている事業者は相当数に上るとみられる。
だが、転換はあくまでも任意であり、課税事業者にならないからといって発注元が一方的に取引を停止したりするのは独占禁止法などに触れる可能性がある。インボイス制度を巡り、日本たばこ産業(JT)が免税の葉タバコ農家に一方的に買い取り価格の引き下げを通告したケースでは、公正取引委員会が注意を行った。他にもイラストレーターやハンドメード作家、翻訳者との取引で同様の行為が報告されている。いずれも立場の弱い零細事業者だ。関係機関は今後も取引実態を調査して、悪質な事案には厳しく対処することが求められる。
政府は激変緩和の経過措置として、課税転換した事業者の税負担を軽減する特例や、免税のままインボイスを発行しない事業者と取引する発注元の税負担を抑える特例を設けている。会計ソフトの導入などを支援する補助金もある。こうした制度も周知しながら、零細事業者の不安払拭に努めてもらいたい。
(2023年09月28日 08時00分 更新)