山陽新聞デジタル|さんデジ

ここ一番の大勝負に挑むときは気…

 ここ一番の大勝負に挑むときは気分を上げていく方が断然いい。そう言って、ワールドカップ(W杯)出場のたびに髪を染めた。サッカー米国女子代表のミーガン・ラピノー選手(38)▼そう、あの鮮やかなピンクの短髪の人だ。今季限りでの現役引退を表明しており、先日、代表最後の一戦に臨んだ▼その戦績は輝かしい。17年間で203試合に出場し、63ゴールをマーク。W杯2連覇やロンドン五輪優勝の原動力となった。ピッチ外の闘いでも知られる。男子代表に比べ、はるかに低い待遇を是正するよう先頭に立って求めてきた▼そうして米サッカー連盟との争議の末、選手たちが男女同額の報酬や、同等の移動手段を得られることになったのは大きい。何しろ世界で初めて試合をしたとされる140年前から長きにわたり、女子はプレーを侮辱されたり、法律で禁じられたりしてきたのだ▼格差は根強いが、競技環境をより良くするための動きは国境を超えて急速に広がっている。予算削減、低賃金やセクハラなどの問題に団体交渉で臨む代表チームが増えてきた▼「人生でも、誰かが得点できるようチャンスをつくることはゴールを決めるのと同じくらい重要。だから声を上げよう」とラピノー選手は自著に書く。“わきまえない女”との中傷にも臆さず駆け回った背を次世代が追っている。

(2023年09月27日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ