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近年、教育において大切なのは「…

 近年、教育において大切なのは「主体的な学び」といわれる。学習指導要領に明記され、自分の興味や関心を大切にしながら学習を深めていくことが求められる▼教師の話を黙って聞けばよいという時代は過ぎ去った。ただ、取材などを通して目にする姿からは子どもたちはまだ自分を抑えているように見える。そもそも子どもの「主体性」ってどうやって育つのか。そう思っていた矢先、岡山市内の会合で保育現場の実践発表を聞く機会があった▼言葉が話せない0歳児は入園直後、不安で泣く。泣いたら抱っこする。これが大切らしい。声を上げたことが無駄ではなく、誰かに伝わって分かってもらえたという経験が主体性の土台になるという▼少し成長すれば高い所にもよじ登ろうとする。けがをしないようにマットを敷き、好奇心が安全に満たされるように工夫するそうだ。興味や関心が十分に満たされると、子どもは成長の階段を上がる▼そんなふうに好奇心の翼を存分に伸ばすことができる保育現場なら、どんなにいいだろう。ただ、理想はあっても現場はゆとりがなく、十分に抱っこできない場面もあるそうだ▼政府は保育人材の確保を進める方針を打ち出し、年末の予算編成で具体的な協議を進める。「主体的な学び」を支えるためにも保育の質の向上にしっかり取り組んでほしい。

(2023年09月24日 08時00分 更新)

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