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2015年、カナダのトルドー首…

 2015年、カナダのトルドー首相が多くの女性閣僚を任命して世界的なニュースになった。首相を除く30人の閣僚のうち半数が女性。男女同数は同国史上で初めてだった▼決断の理由を尋ねられ、首相が放った言葉が秀逸だった。「だって2015年だから」。現代では当然という意味合いだろう。以来、カナダでは閣僚の男女同数が続いているという▼こちらは、男女格差の解消がなかなか進まない。「23年の日本だから」というべきか。おととい発足した第2次岸田再改造内閣である。女性閣僚が改造前の2人から過去最多タイの5人に増えた▼政治や経済における男女格差が日本は世界の中でも極めて大きい。改造前、女性があまりに少ないと散々批判された岸田文雄首相だ。今回は苦心の跡は見てとれる▼それでも閣僚の女性比率は26%にとどまる。政府は大手企業に対し、役員の女性比率を30年までに30%以上にするよう求めている。率先垂範すべき政治の努力が足りない▼女性閣僚の最多記録をさらに更新するよりも、首相が重視したのは入閣待機組を処遇し、党内の派閥バランスを取ることだったようだ。ちなみに、海外に目を向けると閣僚の女性登用が進むのはカナダだけではない。閣僚の女性比率が40%以上という国は30カ国ある。そんな世界の現実も有権者は知っておきたい。

(2023年09月15日 08時00分 更新)

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