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大相撲の友好杯台座は西粟倉産 イスラエル出身の家具職人制作

表彰式でギラッド・コーヘン大使(右)が照ノ富士に授与したトロフィー(駐日イスラエル大使館提供)
表彰式でギラッド・コーヘン大使(右)が照ノ富士に授与したトロフィー(駐日イスラエル大使館提供)
駐日イスラエル大使が贈ったトロフィー。台座部分をシェインワルドさんが制作した
駐日イスラエル大使が贈ったトロフィー。台座部分をシェインワルドさんが制作した
シェインワルドさん
シェインワルドさん
 横綱照ノ富士の8度目の優勝で幕を閉じた5月の大相撲夏場所で、各国の大使が友好杯を贈呈する千秋楽の表彰式にイスラエルが初めて参加した。伝統楽器の角笛をモチーフにしたトロフィーの台座部分を作り上げたのは、岡山県西粟倉村大茅に工房を構える同国出身の家具職人シェインワルド・オハッドさん(40)。優しい表情に母国との友好に貢献できた充実感をたたえる。

 トロフィーは長さ約80センチの角笛ショファールを、長さと高さ各約50センチ、幅35センチほどの台座が支える構造。イスラエルの国章に用いられているオリーブの板を土台とし、日本の桜の木をイメージした一対の鉄の支柱を組み合わせている。

 豊かな自然と人々の温かさに魅力を感じて2015年から西粟倉村に住み、木と鉄を生かした家具を生み出しているシェインワルドさん。駐日イスラエル大使館に岡山県出身の職員がいるのが縁で、制作依頼が舞い込んだ。デザインから全面的に任されて「優勝力士へのリスペクトを表し、日本とイスラエルの伝統をつなぎたい」と全力で取り組んだ。

 正式に依頼があったのは5月に入ってからで時間的猶予はあまりなかったが、支柱がショファールを下から包み込む形にこだわり、自身の手をモデルにしながら、鉄を熱してはハンマーでたたいてを何十回と繰り返して成形した。オリーブは母国で手に入れていたとっておきを使った。表彰式の映像を確認して「思いを形にすることができてうれしい」と満足感をにじませた。

 大の相撲ファンで、トロフィーを照ノ富士に手渡したギラッド・コーヘン駐日イスラエル大使は「賞はイスラエルと日本の深い友好関係を表している。授与に対する反応は非常に素晴らしいものだった」と喜んだ。

(2023年06月06日 19時17分 更新)

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