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広栄堂武田 包装・出荷機能を集約 倉田工場に6月下旬にも

広栄堂武田が包装・出荷機能を集約する倉田工場
広栄堂武田が包装・出荷機能を集約する倉田工場
 和菓子製造販売の広栄堂武田(岡山市中区中納言町)は、倉田工場(同倉田)に包装・出荷機能を集約する。同機能の一部は現在本社にあり、今月下旬にも本社ごと移して業務を効率化。包装設備も増強し、岡山県外の高級スーパーなどへの販路拡大に伴う受注増に対応する。移転に先立ち、本社併設の中納言店は5月中旬に閉店し、江戸期からの歴史に幕を閉じた。

 同社は現在、同工場でだんごの製造、個包装、袋詰め(フィルム包装)をした後、約3キロ北西の本社で箱詰めと段ボール箱への梱包(こんぽう)を行い、出荷している。一連の作業にもかかわらず工程が2カ所に分かれ、運送の時間と手間の解消が課題となっていた。

 集約に向け、工場内の旧店舗(鉄骨平屋約40平方メートル)と倉庫(同約50平方メートル)を改装し、箱詰め、梱包、出荷作業の場所に充てる。またユニットハウス(平屋約10平方メートル)を建てて新本社事務所とする。現本社兼店舗の活用策は未定。

 設備増強では、工場の空きスペースに個包装の設備1台を今月にも入れて3台にする。老朽化したフィルム包装の機械1台も年内に更新。包装工程はだんご生産のボトルネックで、増強により生産能力を週最大約21万粒と1・5倍に高める。投資額は約3千万円。

 同社は2019年、人気イラストレーターのNoritakeさん(東京)を起用し、だんごのパッケージを一新。新型コロナウイルス禍で一時需要が落ちたものの、地道に商談を重ねて関東、関西の高級スーパーや生活協同組合に販路を広げ、全国銘菓を集めた催事などで注文が増えている。昨夏にはパッケージの絵柄を用いた文房具などとだんごのセット販売にも着手。注文が増え生産が追いついていないという。

 武田宏一専務は「中納言店は1856(安政3)年からの歴史ある店舗だが、閉店に迷いはなかった。今まで通りのことを続けていては成長は見込めない。選択と集中で強みのある事業に特化する」と言い、24年3月期は売上高3億円と前期の1・5倍を目指す。

 同社は資本金1千万円、売上高約2億円(23年3月期)、従業員18人(パート含む)。

(2023年06月06日 15時41分 更新)

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