山陽新聞デジタル|さんデジ

岡山市内 焼き菓子店続々オープン 熱い思い胸にマイペースで

たばこ屋を改装して開業した井上さん(左)と平内さん
たばこ屋を改装して開業した井上さん(左)と平内さん
接客する小幡さん(左)。店内には焼きたての商品がずらりと並ぶ
接客する小幡さん(左)。店内には焼きたての商品がずらりと並ぶ
人気のクッキー缶を作る海道さん
人気のクッキー缶を作る海道さん
 岡山市内で焼き菓子店のオープンが相次いでいる。生菓子に比べて扱いやすく、初期投資が少なくて済むのが開業を後押ししているよう。営業日を限り、女性1人でこぢんまりと切り盛りする4店舗を取材した。

 昔ながらのたばこ屋を改装し共同で利用するのは、同市北区清輝橋の「Chiltern bakes(チルタンベイクス)」と「nagi bakes(ナギベイクス)」。昨年末から順次開店し、「チルタン―」は毎月10~12日、「ナギ―」は週1、2回営業する。

 「チルタン―」の店主井上佳奈子さん(40)の祖母が営んでいたたばこ屋は2013年ごろに閉店以降、シャッターが下りたままだった。井上さんはスペースの活用策として、常温保存でき冷蔵ショーケースといった設備が不要な焼き菓子に着目。友人で「ナギ―」の店主平内さとみさん(40)を誘い、開業を決めた。

 かつてたばこが並んでいたガラスケースに商品を置き、小窓から顔を出して接客する。井上さんは「ようやくシャッターを開けられた。少しでも地域のにぎわいにつながれば」と話す。

 “小さな焼き菓子店”を掲げる「BAKE SHOP COLZA(コルザ)」(同市東区広谷)は3月にオープンした。市内のホテルでパティシエを務めていた店主の小幡有菜さん(27)が、長男(4)との時間を大切にしながら焼きたての菓子を届けたいとの思いから独立。金土日曜の午後のみ営業する。小幡さんは「自分のペースで働けている。製造から販売まで1人で行うので人件費が必要なく、資金面でも出店しやすかった」と言う。

 趣味が高じて開店したのは「心種(ココタネ)」(同市北区北長瀬表町)。店主の海道なおみさん(54)が求職中、菓子作りの腕前を知る友人らに勧められ決断した。自宅で使わなくなっていた子ども部屋や和室計約70平方メートルをDIYでリフォームし、店を併設した。

 オープンから4年目を迎え、月2、3回の営業日は行列ができる人気ぶり。海道さんは「大変なことも多いが、おいしいと食べてくれる人のために頑張らないと」と笑顔を見せる。

 いずれも店や商品情報をインスタグラムで発信。自分たちのできる範囲の量を作り、売り切れ次第閉店する。「本当に良いものを届けたい」「焼き菓子が心の底から好き」。どの店主も熱い思いを持って仕込みに励んでいた。

(2023年06月04日 10時12分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ