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アジアの宝、国立民族学博物館へ 富山の版画家の遺品2000点

 博物館への寄贈を前に民芸品の前に立つ金守嘉子さん=15日、富山市
 博物館への寄贈を前に民芸品の前に立つ金守嘉子さん=15日、富山市
 インドネシアの少数民族が作った貴重な民芸品約2千点が、2016年に94歳で亡くなった富山市の版画家金守世士夫さんの遺品から見つかり、遺族が5月15日、国立民族学博物館(大阪)に寄贈した。金守さんが30年以上現地に通って集めたもので、専門家は「東南アジアの少数民族の生活や文化を知る上で、またとない資料だ」と話す。

 金守さんは富山県高岡市生まれ。太平洋戦争中、県内に疎開した版画家棟方志功に師事し、山や湖をモチーフにした幻想的な木版画で知られた。

 1980年ごろ、新聞で読んだインドネシアの少数民族の暮らしに興味を持ち、作品制作の傍ら妻嘉子さん(86)とともに現地を訪れるようになった。

 中でも足しげく通ったのが、中部スラウェシ島の山岳地帯に住む少数民族トラジャの集落だった。嘉子さんによると、言葉が通じなくても「富山弁で話しかけていた」という金守さん。人々が手作りした民芸品の温かみに引かれ、次々と譲り受けた。

 インドネシアへの渡航は年間少なくとも2回、累計で100回を超えた。

(2023年05月29日 07時43分 更新)

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