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「夜泣き部屋」岡山市にオープン 不安抱える母親の気分転換の場に

親子で過ごせる「夜泣き部屋」
親子で過ごせる「夜泣き部屋」

 授乳や夜泣きで眠れず、不安な夜を過ごすお母さんたちが、気分転換できる場所が岡山市内にあります。子育て&レンタルスペース「チョウタラの樹」(同市北区国体町)です。夜間でも親子で過ごせる「夜泣き部屋」として利用でき、家にずっといることで精神的に追い詰められたり、近所迷惑になっていないか気になったりする保護者の受け皿を目指しています。

ガレージを改装した「チョウタラの樹」
ガレージを改装した「チョウタラの樹」

 チョウタラの樹は、1歳8カ月の男の子を育てる杉原美帆さん(31)が今年2月にオープンさせました。自宅のガレージを改装した25平方メートルほどの建物です。乳幼児も安全な障害物のないフラットな空間で、おもちゃや絵本で遊べるほか、子連れで楽しめる映画会、ワークショップも開かれています。

自身も眠れなかったと振り返る杉原さん
自身も眠れなかったと振り返る杉原さん

 チョウタラの樹の珍しい取り組みが、夜泣きに困る人たちの行き場となる「夜泣き部屋」。杉原さん自身、子どもが1歳半になるまで2~4時間ごとに起きていました。睡眠不足で頭が回らない状態が続き、ふいに涙が出てしまうことや、風邪をひいてもしっかり休めないことがあったそうです。

YouTubeが見られるスクリーン
YouTubeが見られるスクリーン

 ふと思い出したのがインターネットで見た漫画家かねもとさんによるエッセイ漫画「夜泣き小屋」。夜泣きをする子どもと行く当てのない母親たちを迎えてくれる、かねもとさんが「あったらいいな」と思う想像の場所を描いた作品です。杉原さんは「漫画のように、お母さんが安心できる空間が現実にあれば」と思い立ちました。チョウタラの樹は隣接する建物が杉原さんの自宅のみ。子どもが泣いても、周辺のことを考える必要がありません。環境を変えることで、リフレッシュにつながればとも考えています。

おもちゃや絵本もそろっている
おもちゃや絵本もそろっている

 「夜泣き部屋」は当日午後9時までに「チョウタラの樹(@choutaranoki)」のインスタグラムに連絡すると、午後8時から翌午前6時まで借りることができます(1日1組限定)。おもちゃのほか、YouTubeが見られるスクリーンもあります。1回の利用料は2000円です。

 チョウタラとは、杉原さんが旅先のネパールで出合った公共の休憩所。そこでは大きな菩提樹(ぼだいじゅ)を囲むように現地の人が眠ったり、チャイを飲んだりしていたそうで、息抜きできる空間になればとの願いを込めました。「私自身も夜泣きの対処法は、ドライブをすることぐらいしかなく、行く場所がなかった。ここで自分自身をケアしてあげてほしい」と話しています。

(2023年05月25日 15時39分 更新)

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