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コアジサシ 玉島の人工島に飛来 絶滅危惧の渡り鳥、近年少なく

魚をくわえたコアジサシ=12日、倉敷市玉島乙島地区
魚をくわえたコアジサシ=12日、倉敷市玉島乙島地区
希少なシギ、チドリ類が飛来している玉島ハーバーアイランドの土砂処分場=19日
希少なシギ、チドリ類が飛来している玉島ハーバーアイランドの土砂処分場=19日
 岡山県のレッドデータブックで最上位の「絶滅危惧(きぐ)1類」に指定されている渡り鳥「コアジサシ」が、倉敷市玉島乙島の人工島・玉島ハーバーアイランドに飛来している。

 体長25センチのカモメの仲間で、黄色いくちばしや顔を横切る黒いラインが特徴。東アジアとオーストラリアを行き来し、日本には毎年、春から夏にかけて集団でやって来る。干潟近くの荒れ地や見通しの良い河原が繁殖の適地だが、その多くが開発で失われたため、近年、飛来数が急速に減っているという。

 地元で観察を続けている「たましま干潟と鳥の会」によると、今年は4月23日に初めて確認した。人工島の南端部にあるしゅんせつ土砂の処分場が干潟のように水たまりができており、約50羽が集まって「キュイ、キュイ」と鳴き交わしながら羽を休めたり、「鰺刺(あじさし)」の名前の通りくちばしから垂直に海に飛び込んで小魚をとったりしている。

 岡山県内では唯一の飛来地とされ、2021年までは島内の荒れ地で営巣も確認できたが、昨年は繁殖しないまま8月ごろに南方へ去ったという。西井弥生代表(47)は「今年もここで子育てができないかもしれない。貴重な鳥なので優しく見守ってほしい」と話している。

(2023年05月22日 20時31分 更新)

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