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古備前や調度品 豊かな文化伝える 近世以降の工芸品 岡山で展示

足守藩主に嫁いだ琴が輿入れの際に使った豪華な「乗物」
足守藩主に嫁いだ琴が輿入れの際に使った豪華な「乗物」
 古備前や調度品といった岡山ゆかりの工芸品を紹介する企画展が、岡山シティミュージアム(岡山市北区駅元町)で開かれている。同館が収蔵する近世以降の74点が並び、郷土の文化や歴史の豊かさを浮かび上がらせている。6月25日まで。

 幕末に足守藩主・木下利恭(としもと)へ二本松藩丹羽家から嫁いできた琴の嫁入り道具は8点を展示した。輿(こし)入れの際に使った「乗物(のりもの)」は、唐草文様や丹羽家の家紋・違棒(ちがいぼう)紋の金蒔絵(まきえ)を全面に施した豪華な外観が特徴。イヌの形の小物入れ「御犬張子」や湯桶(ゆとう)もあり、当時の生活の様子がうかがえる。

 古備前は、地元の実業家・木村誉平氏(1902~84年)が市に寄贈したコレクションから11点を選んだ。いずれも桃山~江戸前期の逸品で、朱色の線「緋襷(ひだすき)」が走る茶わんや大皿、円形の跡「牡丹餅(ぼたもち)」をつけた大鉢、獅子の形をした香炉などが目を引く。

 この他、備前焼の人間国宝・金重陶陽をはじめ、漆芸家山口松太やガラス作家赤澤清和ら県内で活躍した7氏(いずれも故人)の作品も並べた。担当学芸員は「工芸品は時代や作家によって特徴が全く異なる。見比べて楽しみながら地元の歴史と文化の一端に触れてほしい」と話す。

 午前10時~午後6時。一般310円、高校・大学生210円、中学生以下と65歳以上は入場無料。月曜休館。

(2023年05月21日 10時54分 更新)

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