アートの“推し”を巡り、学芸員と芸人がラップバトル―。異色の企画に挑んだのは、岡山県立美術館（岡山市北区天神町）の鈴木恒志さん（２６）。同館が１月に開いた学芸員ラップバトルがきっかけで、自衛隊ネタで知られる芸人・やす子さんと共演。専門とする仏画への愛を歌った姿が動画投稿サイト・ユーチューブで公開されている。

　「俺の推しの来迎図　阿弥陀や聖衆（しょうじゅ）が迎えに来る♪」。緊張しつつも懸命にリリックを刻む鈴木さん。すかさず、対決相手のやす子さんが「もっと人が立ち上がれるくらいのラップをしろ」とツッコミを入れる。

　動画は、お笑いコンビ「バイきんぐ」の小峠英二さんらがアートの面白さを伝えるバラエティー番組「小峠英二のなんて美だ！」（東京ＭＸテレビ）の公式チャンネルで配信。県内４美術館の学芸員が美術への愛をぶつけ合ったバトルが関係者の目に留まり、鈴木さんにオファーを出した。

　収録は東京のスタジオで行い、前後編約３０分。鈴木さんは死者を極楽浄土へ迎える阿弥陀如来を描いた来迎図、やす子さんは米ポップアートの巨匠キース・ヘリングを題材に対決。やす子さんとのトークでは学芸員の仕事の魅力なども語っている。

　鈴木さんは１月のバトルを直前で病気欠場しており、「リベンジのつもりでスベるのを覚悟して臨んだが、やす子さんが盛り上げてくれた。美術や学芸員の仕事への関心につながれば」と話している。