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極楽浄土へ向かう行列 きらびやか 瀬戸内・弘法寺で「踟供養」

中将姫像を携えて境内を進む一行
中将姫像を携えて境内を進む一行
 瀬戸内市牛窓町千手の弘法寺で5日、奈良時代の伝説上の尼僧・中将姫が極楽浄土へ向かう様子を演じる「踟(ねり)供養」(岡山県重要無形民俗文化財)が営まれた。新型コロナウイルス禍で4年ぶりの開催となり、待ち望んだ見学者でにぎわった。

 観音や地蔵の面を着けた住民や華やかに着飾った稚児ら計約70人が境内の遍明院を出発。娑婆(しゃば)に見立てた約150メートル先の広場まで練り歩き、中将姫像を導師の黒井泰然・同院名誉住職から受け取ると、極楽浄土になぞらえた同院に再び向かった。同院本堂前では一行を阿弥陀(あみだ)如来像の被仏(かぶりぼとけ)(同県重要文化財)が迎えた。

 孫が行列に参加した岡山市北区、男性(71)は「きらびやかな中にも厳かな雰囲気があり、見応えがあった」と話していた。

 同寺の踟供養は鎌倉時代に始まったとされ、当麻寺(奈良県)、誕生寺(岡山県久米南町)とともに「日本三大ねり供養」の一つに数えられる。2016年には国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」にも選定されている。

(2023年05月05日 20時51分 更新)

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