山陽新聞デジタル|さんデジ

新米パパの2週間(下)職場の空気は 「後押し」で悩み杞憂に

育休中に抱っこして息子をあやす記者
育休中に抱っこして息子をあやす記者
新米パパの2週間(下)職場の空気は 「後押し」で悩み杞憂に
 産後パパ育休まであと2日となった日、報道部記者の私(33)が出勤して間もなく、机の内線電話が鳴った。直属の男性部長(52)からだ。

 「◯◯(女性副部長)がコロナになった」

 私が所属する取材班は、その副部長(49)と後輩男性(27)の3人。自分が育休を取るだけでも負担なのに、さらに1人抜ける。「さすがにマズい」と思い、妻には申し訳ないが育休の先延ばしを申し出た。

 ところが、部長からは「奥さんのためにも予定通り取りなさい」との指示。後輩も「こっちのことは気にしなくて良いッスよ!」と頼もし過ぎる返事。結局そのまま育休に入った。仕事を休む後ろめたさが常にあっただけに、同僚や上司の後押しはありがたかった。

 育休中とはいえ、仕事と完全に離れるのは難しい。育児と家事の隙間にメールや電話に対応した。取材の約束をした方からの催促の連絡には焦った。聞くと取材できる機会は残りわずか。育休中に取材へ行くか真剣に悩んだが、謝罪して後日伺うことにした。

 社内で育休を取る男性はまだ少ない。理解は得られるか、しわ寄せが及ぶ同僚はどう思うか、迷惑をかけてまで取るべきか。以前はそんな考えに縛られていたが、結果的には全くの杞憂(きゆう)に終わった。今は「自分が取得すれば後輩に道を示すことになる」と思えるようになった。

 一緒に育児をしたい夫婦にとって、男性の育休が当たり前の時代が来るだろうか。体験してみて、来てほしいとの思いを強くした。

 差し当たり、育休を希望する新米パパたちには「自分一人の思い込みで取得を諦めるのはもったいない」と伝えたい。

 育休に関する調査 明治安田生命保険が0~6歳の子どもがいる既婚男女に昨年行ったアンケートで、育休を取らなかった男性の理由は「給与が減少する」(21・0%)がトップ。次いで「職場の理解不足」(19・3%)、「復帰時の職場の雰囲気が不安」(14・4%)、「仕事のスキル・経験に支障が出る」(13・1%)―と続いた。

 育休制度の見直し 政府は3月、産後パパ育休中(最大4週間)に支払われる給付率を現行の休業前賃金の67%から80%程度に引き上げると表明。社会保険料の免除と合わせると手取り収入は実質100%保障される。

(2023年04月02日 10時26分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ