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100を超す民族が暮らし、その…

 100を超す民族が暮らし、その数だけ柄があるといわれるほど織物文化の豊かな国だ。波、ひし形、斜めに走るしま。美しいデザインが思い浮かぶ▼だから、こんなことわざがあると聞けば余計やるせなく感じてしまう。「どんな模様の毛布で覆われても安心はできない。安心は慈しみに包まれてこそ」。ミャンマーで国軍がクーデターを起こして今日で2年になる▼混迷が収まる兆しは全くない。国軍は民主化を求める国民を弾圧し続け、犠牲者や避難民、海外への脱出者は増加の一途である。政変前は発展の入り口に立っていた経済も回復は当面見込めないだろう▼将来の展望が描けないことから命を絶ったり、残虐行為を目撃して精神を病んだりする人も増えている。だが、心療内科を含め医療体制は脆弱(ぜいじゃく)で、現地の非政府組織(NGO)などがオンライン診療でしのいでいるのが現状だ▼ミャンマー市民の苦しみが深まり、長引く一方で、国際社会の関心はウクライナ危機以降、薄れているのでは―。日本の支援団体「ミャンマーの平和を創る会」が先日、記者会見で訴えていた▼各地に避難している人々の食料や医療物資、教材を届けるため3月までクラウドファンディングで寄付を募るという。早速、協力しようか。「忘れていない」とのメッセージが、安心をもたらしてくれるなら。

(2023年02月01日 08時00分 更新)

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