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犬養毅「永保すべし」巻物初展示 記念館、交友関係伝える「1品」

複製本の後書き原本をまとめた巻物。犬養の友人4人が寄せた
複製本の後書き原本をまとめた巻物。犬養の友人4人が寄せた
犬養が入手した拓本の複製本
犬養が入手した拓本の複製本
巻物を保管していた箱。「永保」などと犬養の直筆で記されている
巻物を保管していた箱。「永保」などと犬養の直筆で記されている
 犬養木堂記念館(岡山市北区川入)で、市出身の犬養毅元首相(号・木堂、1855~1932年)ゆかりの所蔵品約1万点から1品を厳選して紹介する恒例の特別企画展が開かれている。今回は、犬養が大切にしていた拓本を複製して本にする際、犬養から依頼された友人たちが書いた後書きの原本をまとめて初展示した。12日まで。

 犬養は1911年ごろ、書聖と呼ばれた中国の書家・王羲之(おうぎし)が残した文章の拓本1点を入手し、宝として大切に保存。13年に複製本が出版されるにあたって学者ら友人4人が後書きを寄せており、企画展ではその原本をまとめた巻物を公開している。

 後書きは内藤湖南や長尾雨山といった中国文化に造詣が深い学者らが寄稿した。字の勢いや美しさなど拓本を評価しているほか、一緒に温泉につかったり、中国で語り合ったりした犬養との交流についても記述している。

 犬養は巻物を保管する箱に、長く保存していく思いから拓本と巻物を「永保すべし」との旨を記したが、所属政党が資金不足に陥ったため拓本は売却したという。

 石川由希学芸員は「拓本こそないが、巻物が大切に受け継がれてきたことを知ってもらうとともに、交友関係の一端にも触れてほしい」としている。

 会場には関連資料も並べている。入館無料。火曜休館。

(2023年01月31日 17時21分 更新)

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