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前川建築 岡山県庁舎の魅力発信 コーナー新設、らせん階段公開へ

前川氏が設計した県庁舎。ガラスや化粧板を組み合わせたカーテンウォールが特徴だ
前川氏が設計した県庁舎。ガラスや化粧板を組み合わせたカーテンウォールが特徴だ
県が一般公開を決めた県庁舎1階から地下金庫に続くらせん階段。役目を終えた後は“秘蔵”扱いとなっていた
県が一般公開を決めた県庁舎1階から地下金庫に続くらせん階段。役目を終えた後は“秘蔵”扱いとなっていた
前川国男氏(前川建築設計事務所提供)
前川国男氏(前川建築設計事務所提供)
 岡山県は戦後日本を代表する建築家・故前川国男氏(1905~86年)の設計で、2023年度に耐震化工事が完了する県庁舎(岡山市北区内山下)の魅力発信に乗り出す。来庁者に建築的特徴を紹介するコーナーを新設し、創建時からある旧地下金庫への金属製らせん階段を初めて一般公開。建物の見学ツアーも企画し、観光資源として活用する。

 県庁舎(地下1階地上9階、1957年築)は前川建築の特徴である開放的なピロティや当時は先進的だったカーテンウォール(帳壁)を導入。2016年に建築遺産の保存を進めるDOCOMOMO(ドコモモ)日本支部の優れた近代建築選に選ばれた。一方で、その文化的価値にスポットを当てた案内看板などはなく、県は耐震化工事の完了に合わせて発信を強化することとした。

 コーナーは1階県民室の一角に設け、パネルで建築の特徴を紹介。展示の目玉となるらせん階段(鉄骨、高さ約5メートル)は1階の執務室と地下金庫を結ぶ動線で、役目を終えた後も中国銀行県庁支店内にあったため半ば“秘蔵”扱いとなっていたという。地下の重厚な金庫扉も活用を検討する。23年度当初予算要求に関連経費1700万円を計上し、24年春の公開を目指して整備する。庁舎見学ツアーの開催も計画する。

 戦後の近代建築を巡っては、故丹下健三氏設計の香川県庁舎(58年築)が22年に庁舎建築では初めて国重要文化財に選定されるなど価値を見直す動きが広がっている。岡山市内には前川氏が手がけた県天神山文化プラザ(北区天神町、62年築)、林原美術館(同丸の内、63年築)もあり、県は一体的なPRを検討する。

 前川氏の評伝で日本建築学会賞を受賞した松隈洋京都工芸繊維大教授は「前川建築は老朽化による取り壊しが進んでおり、らせん階段など建設当時の遺構は貴重だ。岡山県庁は戦後の民主主義における理想の庁舎を目指した代表作だけに、生きた文化遺産として活用してほしい」としている。

 前川国男氏(まえかわ・くにお) フランスで世界的建築家ル・コルビュジエに師事し、帰国後は近代建築の旗手として活躍。県庁は戦災で焼失した旧庁舎の新築移転として手がけた。代表作は他に青森県の木村産業研究所(1932年、国重要文化財)、東京都の「東京文化会館」(61年、日本建築学会賞)など。新潟市生まれ。

(2023年01月24日 19時16分 更新)

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