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水島商店街復活を支える若い力 パーキングデイから見る新しい街づくり

水島パーキングデイのタウンミーティング。地元の高校生も参加し、地域課題を語った
水島パーキングデイのタウンミーティング。地元の高校生も参加し、地域課題を語った
路上でお絵描きをする学生たち。なかなか上手だ
路上でお絵描きをする学生たち。なかなか上手だ
夜が更け始めると、いい雰囲気になってきた
夜が更け始めると、いい雰囲気になってきた
岩淵泰さん
岩淵泰さん
 9月16日、倉敷市の水島商店街にて水島パーキングデイが開催された。パーキングデイとは、車中心から人間中心の社会への転換を訴えるサンフランシスコ発祥のまちづくり手法だ。

 地域住民は、道路や駐車場に椅子やテントを建て、交流を通じて顔見知りを増やしていく。本を読んだり、コーヒーを飲んだりして、各自が居心地の良い空間づくりに参加する。水島の企画では、若者の交流をきっかけにした、にぎわいづくりに力を入れている。

 日本全国で商店街のシャッター通り化が問題になっており、追い打ちをかけるようにコロナウイルスの影響で地域のイベントも中止となっている。筆者は、今回のパーキングデイで、地域住民の意見交換の場づくりを担当することになった。ここ数年、水島商店街ではホテルやお洒落なお店も増え始めている。これまでの水島商店街の歩みについて、水島商店街振興連盟会長の藤原義昭さんから話をうかがった。

 「水島商店街は、コンビナート企業の社員寮の前で奥さま方が日常雑貨を販売したのが始まりで、それらを従業員に払い下げて今の形になりました。戦後の高度経済成長期には様々な商売人が集まりました。ただ、一軒当たり35坪と狭いため、お金を貯めて、真備など他所へ引っ越す人もいました。コンビナートで働く職人さんや建設業の方は、商品の値段を見ないで買うような羽振りの良い人も多かったのです。ですから、水島で商売をする人もさまざまで、商売を始めるんだと意気込む人もいれば、水島ならもうかるはずだから商売でもしてみるかという人もいたわけです」

 「1980年の商店街組合の会員数は、237ありましたが、大変にぎわったようで、昭和31年に始まった水島港まつりの時は、ワゴンセールが出て人が歩けないぐらいにいっぱいでした。港まつりは、かつては花火大会だったのですが、コンビナート工場の安全のために昭和47年(1972年)から七夕かざりに変更になりました」

 しかし、1980年代になると、商店街は規制緩和の波にさらされてしまう。水島にも大型店舗が進出し、大量に仕入れた商品を安く売るようになった。一方、消費者も商店街を通さず、生産者から直接購入するのを好むといった、流通の変化も起きた。大きい商いほど、もうけやすく、小さい商店街は淘汰されるようになった。かつては250近くあった組合会員数も、今では48にまで減少した。

 藤原さんによれば、商店街を維持するには、自分のお店だけが利益を上げるのではなく、商店街で利益が循環し、シェアすることも大切だという。近年、明るいニュースとして、商店街に若い起業家や飲食店の出店が増えたそうだ。その理由は、岡山市や倉敷市の中心市街地に比べて家賃が格段に安くなっているからだそうだ。

 「八間川から水島臨海鉄道までのエリアで、35坪・3階建ての家が300万円で売り出されました。家賃も安いため、若い人も徐々に増えてきました。岡山の街なかで商売のノウハウを学んだ人が、水島でおしゃれで気の利いた飲食店を始めています。起業のリスクが低く、ランニングコストが低いからです。水島はいいところなんです。まちづくりを一緒にやっていこうと思っています」

 水島商店街には少しずつ若者の力が加わっているようだ。パーキングデイに参加している学生からは、戦後の商店街の歴史が学べる博物館構想、水島エリアの飲食店やイベントをまとめたホームページ、地域住民による公園活用のワークショップなど、さまざまなアイデアが挙がった。学生たちは、閑散としている現在の商店街のイメージをまちを変えていきたいと言う。寂れた商店街の姿をレトロ感と置き直し、写真スポットにしたいという意見にも新しさを感じた。

 最後に、パーキングデイの設営を頑張ったミズシマ盛り上げ隊、MPM Lab. (ミズシマ・パークマネジメント・ラボ)、そして、学生のみなさん、新しいまちづくりの発見がありました。お疲れさまでした。

 ◇

岩淵 泰(いわぶち・やすし) 岡山大地域総合研究センター(AGORA)准教授。都市と大学によるまちづくり活動に取り組む。熊本大学修了(博士:公共政策)。フランス・ボルドー政治学院留学。カリフォルニア大学バークレー校都市地域開発研究所客員研究員などを経て現職。1980年生まれ。

(2022年09月23日 09時45分 更新)

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