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【超RIZIN】“路上の伝説”朝倉未来は、いかにしてメイウェザー戦にたどり着いたか 6つのキーワードで「成り上がりストーリー」をたどる

『超RIZIN』でフロイド・メイウェザーと対戦する朝倉未来 撮影/池本史彦(C)ORICON NewS inc.
『超RIZIN』でフロイド・メイウェザーと対戦する朝倉未来 撮影/池本史彦(C)ORICON NewS inc.
 25日に行われる『超RIZIN』(さいたまスーパーアリーナ)で、“ボクシング50戦50勝”というフロイド・メイウェザー(45)と対戦する、格闘家の朝倉未来(30)。YouTuberとして高い人気を誇り、話題の格闘技イベント「Breaking Down」を主催、さらに経営者、リアリティー番組の仕掛け人、そして歌手と多彩なジャンルで才能を発揮している。

【動画】朝倉未来、渋谷のど真ん中でメイウェザーとフェイスオフ!

 幼少期は喧嘩に明け暮れ、その圧倒的な強さから“路上の伝説”と呼ばれた少年は、いかにして一挙手一投足がニュースになり、恋愛事情が週刊誌に取り上げられる“時代のカリスマ”に上り詰め、“無敗の伝説”メイウェザーとの試合にたどりついたのか。ファンもアンチも巻き込んで熱狂を作り続ける「朝倉未来という現象」に、4つのキーワードで迫る。
【参考資料:朝倉未来著『路上の伝説』(KADOKAWA)、ABEMA『しくじり先生 俺みたいになるな!! #48:朝倉未来 路上の伝説...少年院に入るまでの壮絶人生激白』】

【1】“路上の伝説”

 愛知県豊橋市で生まれた未来は、幼少期に空手と相撲を習っていたが、中学生になった頃から喧嘩に明け暮れる。年上から敬語を要求されることに反発し、複数相手にも一歩も引かずに戦って勝利を重ねてきたが、50人の暴走族に2人で立ち向かってボコボコにされた。「タイマンなら絶対に負けない」という絶対的な自信から、逆襲の手段として自らも暴走族に加入し、不当な人数との喧嘩を避けるという策士ぶりで、ますます喧嘩道を極めていった。ちなみに、高校は入学から3ヶ月で中退している。

 ある日、隣町の暴走族との総力戦をすることになったが、全員で激突するとどちらが勝っても共倒れになることから、総長同士の話し合いで「一番強いヤツ同士の決闘で勝敗を決める」ことになる。代表に指名された未来は、相手の代表と対決して左フック一発で失神させる。その日から、彼は“路上の伝説”と呼ばれるようになった。それから3ヶ月、ほかの暴走族を次々と制圧した未来の族は豊橋を事実上、制圧した。

 暴走と喧嘩を謳歌していたが、終わりは突然訪れる。無免許運転により逮捕され鑑別所、そして少年院に入ることになった。ここで長い時間を過ごすが、未来の精神を支えたのが格闘技との出会いだった。暴走族時代の友人で現在もYouTubeメンバーである「岡くん」が、全国の不良を集めて人気急上昇だった格闘技「THE OUTSIDER」に参加することになり、母親に薦められて未来もこの大会を目指すようになる。少年院での規則正しい生活は、不良生活で荒んだ体を健康的に戻し「格闘技を始めるための準備」と考えて日々を過ごした。これが、格闘家・朝倉未来が誕生する第一歩となる。

 ちなみに、未来は「逮捕が3日遅かったら、極道になっていた可能性がある」と著書で明かしている。入れ墨を両手首まで入れようと彫師に予約を入れていたのだ。「運命みたいなものだが、逮捕によって彫り物を入れずに済んだことは、俺の人生にとっては重要な分岐点になっただろう」と振り返っている。もし未来が予定通りに入れ墨を彫っていたら、日本の格闘技界の歴史も大きく変わっていただろう。

【2】“THE OUTSIDER初の2階級王者”

 入所から1年4ヶ月後、2011年8月に18歳で少年院を出た未来は、昼は働き夜は豊橋の格闘技道場で練習という生活を送るようになり、THE OUTSIDERを目指して地元の地下格闘技大会で実績を積み始める。すぐに頭角を現し、12年9月にはDEEP浜松大会に出場して1ラウンド53秒でKO勝利を飾ると、大歓声を浴びたときに喧嘩では味わえない達成感を覚えた。この大会には弟の海と兄弟そろって参戦し、兄弟そろって快勝。これが、朝倉兄弟の記念すべき初陣となった。

 翌13年から海とともにTHE OUTSIDERへ参戦すると、圧倒的な実力で連戦連勝を記録し、15年7月に“ミスター・アウトサイダー”と呼ばれ大会の象徴であった吉永啓之輔を倒して65-70kg級王者を戴冠。さらに12月には樋口武大を下して60-65kg級王者になり、THE OUTSIDER史上初の二階級制覇を果たす。17年には韓国のROAD FCにも参戦し、同年6月から海とともに練習拠点を東京に移すと、18年にTHE OUTSIDERを卒業し、ジムのインストラクターをしながら練習のレベルを上げて技術も飛躍的に向上させた。

 当時は、プロの格闘家がTHE OUTSIDER出身ファイターを見下す風潮があったが、一足先にRIZINに参戦していた海が17年大みそかのデビュー戦で才賀紀左衛門にTKO勝利、翌18年5月にマネル・ケイプに判定勝ちして評価を高めると、満を持して同年8月に未来もRIZINデビューが決定。元修斗チャンピオンでUFCにも参戦した経験を持つ日沖発という、知名度もキャリアも圧倒的な差がある実力者との対戦という厳しいデビュー戦と思われたが、未来は1Rに左ハイキックで日沖をダウンさせたところにパウンドで追撃し、見事なTKO勝利を飾った。

 圧倒的に不利な下馬評を覆し、日本のトップファイター相手に鮮やかなフィニッシュによる勝利を見せたことで、“THE OUTSIDER初の2階級王者”という肩書が日本のメジャーリングでも通用することを証明した。それまで、RIZINのリングは選ばれしアスリートが戦う場と見られてきたが、不良出身の地下格闘技からのし上がった選手でも活躍できることが証明され、全国の不良にとってRIZINが身近な存在となったことも、未来の大きな功績の一つと言える。

【3】“YouTube”

 朝倉未来という存在に欠かせないのが、YouTubeであることは間違いない。アイデアマンの未来はかなり前からYouTubeの企画を温めており、始める時期も「もっともインパクトのあるタイミングで」と考え、19年4月のRIZIN.15でブラジルの強豪選手ルイス・グスタボに勝利し、格闘技ファンからの注目がもっとも集まっていたタイミングでスタートした。

 トップYouTuberとして確立させたのは、人気動画シリーズ「街の喧嘩自慢にプロ格闘家がスパーリングを申し込んだら」だ。その名の通り、朝倉が自ら街を歩き喧嘩自慢の素人に声をかけ、実際に打撃ありのスパーリングの相手となり、プロの実力を強烈に刻み込む。地上波テレビにはない刺激的なコンテンツで、あっという間にフォロワーを獲得した。

 その後も「ぼったくりバーに潜入したらとんでもない事になった」や「シバターをガチでシバいてみた」、さらにボクサーやK-1ファイターとのスパーリング、さらには試合前日の水抜き減量の様子も見せるなど、“不良上がりの格闘家”という自身のキャラクターを生かした動画で爆発的なヒットを連発。現在はメインチャンネルが273万人、サブチャンネルを合わせると350万人という登録者で、日本有数のYouTuberとなった。

 企画力はもちろんだが“格闘家・朝倉未来”が本業でも強さを見せ続けたことが、ヒットの要因である。YouTubeに力を入れすぎて格闘技で負けてしまっては、白けてしまうファンもいるだろう。そうならないために、YouTubeで革新的な企画を生み出し続けながら、格闘技でも結果を残し続ける。それが両立できるからこそ未来は単なる格闘家という枠を超えた影響力を持ち、今回のメイウェザー戦にたどり着くことができたといえる。

【4】“年商30億円”

 未来は先月、プロボクシング元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志氏の動画に出演し、現在の年収を「30億ぐらいですかね。年商ですけど、僕の仕事は利益率がエグいのでほぼ利益」と語っていた。また、現在は「15個くらい」会社を所持しており、先日に設立した会社では「年商100億目指す」と宣言していた。

 もちろん、「30億円」のすべてが未来の収入になるわけではないが、日本プロ野球の年俸No.1である楽天の田中将大の「9億円」と比較しても、未来が生み出すマネーはアスリートという枠を大きく超えている。優れた才能とたゆまぬ努力が生み出した結果だが、この大きすぎる金額が、多くのアンチも呼び込んでしまっている。

 日本では高校野球の甲子園に代表されるように、アスリートに清廉潔白を求め、「現役時代は競技に集中するのみ。金儲けなんて考えるな」という古くからの根強い価値観がある。また、極端に稼ぐ人に対して嫉妬心を持つ人も一定数おり、そういった“空気”により未来にもファンが増えるのと同時にアンチが増えていった。

 今回対戦するメイウェザーは「マネー」の異名を持ち、1試合で100億を超えるファイトマネーを得ており、18年6月にフォーブスが発表した「世界で最も稼ぐスポーツ選手」では、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドやNBAのレブロン・ジェームズら各スポーツ界のスーパースターたちを抑え、見事No1に輝いた。その年収は日本円にして約300億円以上ともいわれる。

 そんなメイウェザーにも世界中にアンチがおり、PPVの売上は「メイウェザーが負けるところが見たい人たちが購入している」と言われるほど。どこか通じるところがある未来だからこそ、今回のメイウェザー戦が実現したことは必然といえるのかもしれない。

【5】“Breaking Down”

 朝倉未来のプロデューサーとしての才能を改めて証明したのが、「1分1ラウンドで最強を決める」をコンセプトにした新たな格闘技イベント『BreakingDown』だ。海とともにスペシャルアドバイザーとして大会を監修し、昨年7月にスタートすると回を重ねるごとに話題を呼び、今年7月に開催された『BreakingDown5』はYouTube関連動画総再生数1億回を超えている。

 出場選手はTHE OUTSIDERに出場していた瓜田純士や吉永啓之輔のほか、喧嘩好きの不良、元プロボクサー、勘違いの腕自慢、迷惑系YouTuber、会社経営者とまさに多種多様。そんな選手たちを未来や海がマッチメイクし、肩書も何も関係なく極めてシンプルなルールで戦わせる。

 人気の秘訣は、単純でわかりやすい試合のルールはもちろんだが、出場選手を決めるためのオーディションだ。かつての人気番組『ガチンコ!』(TBS)を彷彿とさせる、いやそれ以上の緊迫感のあふれるやり取りが繰り広げられ、もはや試合よりもオーディションでインパクトを残すだけで一気にSNSフォロワーが急増するなど、まさに“インフルエンサーの登竜門”となった。試合に出場している「こめお」「飯田将成」「井原涼」のほか、テストマッチで秒殺負けした「10人ニキ」や、オーディションで強烈なインパクトを残した「バン中村」など本戦に出ていない選手もバズりまくっている。

 PPVも好セールスを記録しており、『RIZIN』の榊原信行CEOも「彼らのやり方って、ある意味時代を捉えている。そういうものから僕らは刺激を受けるし、学ぶものもある」と評価している。未来も8月の『BreakingDown5.5』の大会終了後に「RIZINとBreakingDownと提携しても面白いみたいな話はしました」と語り、さらには海外展開も見据えるなど、さらなる成長を期待させる。

【6】“ミライへ”

 最後は、視点を変えて未来のやってきた実績ではなく、それらに共通する思いを掘り下げてみる。さまざまなジャンルで才能を発揮している未来の行動をつぶさに見ていくと、“ミライへ”というキーワードが浮かんでくる。

 未来は実業家の“青汁王子”こと三崎優太氏とYouTubeの企画でスパーリング対決し、「負けたらなんでも言うことを聞く」と宣言していた三崎氏に圧勝すると、「地方出身の僕は、東京に出てきて強くなった。RIZINに出場して1年で5連勝し、大きく変わった。地方の苦労している格闘家が、東京で1年間修行できるオーディションをしてもらえないか」と提案。そして若手格闘家育成プロジェクト『朝倉未来1年チャレンジ』がスタートし、西谷大成、ヒロヤ、五明宏人を輩出した。

 BreakingDownでは、かつての自分のように腕一本でのし上がろうとする喧嘩自慢たちに戦いの場を提供し、格闘技に興味を持つ人を増やすことで未来に向けた選手とファンの創出に貢献している。

 また、昨年にABEMAで放送され大きな話題となった『朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円』でも、朝倉未来らしさを感じさせるエピソードがあった。オーディションにサプライズで登場した未来は、その場で執拗にかみ付いてきた挑戦者の山田豊二と急きょガチンコスパーリングをすることになり、容赦なく数発のパンチを顔面に打ちつけて実力の違いを見せつけた。オーディションはここで終了したが、未来は「山田さんの見え方が悪く映ってしまった」と気遣い、「再生が伸びそうだから(笑)」と冗談めかしながら自身のYouTubeのコンテンツとして山田が働くハンバーガー店を訪問。自分と絡んだことで山田がこの先に損をしないよう、対談で人となりを紹介した。

 YouTuberのヒカルとタッグを組んだ新型リアリティーショー『Nontitle~この1000万あなたならどう使う?~』は、「スタートアップ」をテーマに起業を目指す男女6人がひとつ屋根の下で3ヶ月間の共同生活をしながら事業を作り出す様子を追った。この番組について、未来は「若い人に希望を持たせてあげたいし、僕らの慈善活動的な意味を含めて今回はこういう番組を選んだ」「これを見て人生が変わる人が出てきたら、それはすごくうれしいですし、日本の経済が成長するような手助けをしたいなと思います」と語った。

 やりたいことが見つからず暴走を繰り返し、少年院に入った昔の朝倉未来は、格闘技と出会い“ミライ”を見つけ、努力を重ねて成功をつかんだ。そして今、かつての自分と同じように“ミライ”が見えていない人にむけて、さまざまなことに取り組んできた。そして、自らのメイウェザー戦後の“ミライ”には、「この試合で世界中を驚かせて、コナー・マクレガー戦を実現させる」と語っている。格闘技ファンが夢見る“ミライ”は実現するのか。それは、メイウェザーをどこまで追い込めるか、未来自身が両手に握っている。

◆『The Battle Cats presents 超RIZIN/湘南美容クリニック presents RIZIN.38』
日時:9月25日(日) 前10:30開場/正午開始
※RIZIN.38は超RIZIN終了後、1時間の休憩を挟んで午後3時開始予定。イベントの進行により前後する場合あり。
会場:さいたまスーパーアリーナ
PPV:ABEMA、RIZIN STREAM PASS ほか

◆『超RIZIN』対戦カード
フロイド・メイウェザー 対 朝倉未来
皇治 対 ジジ
吉成名高 対 バンダサック・ソー・トラクンペット
三浦孝太 対 ブンチュアイ・ポーンスーンヌーン

◆『RIZIN.38』対戦カード
堀口恭司 対 金太郎
伊澤星花 対 アナスタシア・スヴェッキスカ
浜崎朱加 対 パク・シウ
扇久保博正 対 キム・スーチョル
シビサイ頌真 対 カルリ・ギブレイン
萩原京平 対 鈴木千裕
大原樹理 対 ルイス・グスタボ

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(2022年09月23日 09時00分 更新)

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