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赤テントに懸けるPart2(3)中尾梨沙さん 育児と舞台 多忙でも充実

吊りロープで演技する中尾さん。舞台に立ち続ける自分の姿を子どもたちにも見てほしいという
吊りロープで演技する中尾さん。舞台に立ち続ける自分の姿を子どもたちにも見てほしいという
 中学1年の長女、小学5年の長男、そして今年小学校に入ったばかりの次男。オープニングショーの一つ・吊(つ)りロープなど三つの演目に出演している中尾梨沙さん(42)は3人の子どもの母だ。

 音響・照明を担当する夫の展久さん(41)も含め一家5人で赤テントの裏にあるコンテナハウスで暮らす。食事や洗濯といった家事を分担しながらの忙しい生活だが、「舞台に立ち続けられて充実している」と言う。

 静岡県富士宮市の高校を卒業後、静岡で公演していた木下サーカスがダンサーを募集しているのを知り、アルバイトで入った。小学生の頃に習っていたバレエの経験を生かせると思ったのがきかっけだ。その後、正式に入団し、数多くの演目を担ってきた。

 入団22年目で、12人いる日本人女性の出演者の中で最も長いキャリアを誇るが、ここに至るまでには大きな葛藤もあった。

 25歳の時に結婚。29歳で長女、31歳で長男を出産した。「人を笑顔にできる舞台に立ちたい」と、いずれも半年ほどで復帰した。ただ、子どもが成長するにつれ、「このままでいいのか」との思いも出てきた。

 全国の公演地を約3カ月ごとに移動する生活。子どもたちは学校になじんだ頃に転校しなくてはならない。友達と別れるたび泣いていた長女が悲しむそぶりを見せなくなっているのに不安を覚えた。

 「人間関係を築けなくなっているのでは」。35歳で次男が産まれた後、どこか決まった場所で暮らそうかと考えた。

 だが、それは親の勝手な思い違いだと気付いた。長女は離ればなれとなった友達とLINE(ライン)で頻繁にやり取りするなど、関係を途切れさせないようにしていた。かけがえのない友達をつくり、しっかり成長している。「子どものせいにしてサーカスを辞めるのは子どもに失礼ではないか」。次男出産から1年で復帰した。

 毎朝7時半から2時間のトレーニングを欠かさず、朝は子どもと関わる時間がない。その分、夕方以降、勉強を教えたり、遊んだりして一緒に過ごす時間を大切にしている。

 今も新たな技に挑戦しているといい、「やりたいことを見つければ、それに向かって努力するし、輝ける。子どもたちにはそれを伝えたい」と話す。

(2022年08月17日 20時46分 更新)

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