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ウッドショック 国産材の活用促す契機に

 海外需要の増加で木材価格が急騰する「ウッドショック」が長引いている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、政府がロシア産の一部木材の輸入を禁止したこともあり、需給の改善は見通せない。

 輸入材はサプライチェーン(供給網)の課題を抱えていることが改めて明らかになった。地元産材を含め国産材への切り替えを本格的に進めていくべきだ。

 木材価格の高騰は、新型コロナウイルス禍で世界的に海運が停滞したことや、米国や中国で住宅着工が増えたことが契機となった。農林水産省によると、ヒノキ丸太(直径14~22センチ、長さ3・65~4メートル)の5月の全国平均価格は1立方メートル当たり2万6500円で、前年同月比24%アップした。2年前と比べると64%の大幅上昇である。先月公表の2021年度の森林・林業白書は、国産材の安定供給により海外市場の影響を受けにくくするよう促している。

 国産材を見直す動きは岡山県にとって追い風になる。県土の約7割を森林が占め、人工林の8割近くが樹齢40年を超えて伐採期を迎えている。ヒノキの生産量は全国トップクラスで、製材業の集積も厚い。林業・木材産業は成長産業となる可能性を秘める。

 安価な輸入材に押され、国産材の利用は低迷が続いてきた。国産材を安定供給するためには、まずは林業の担い手の確保が重要になる。県内の林業就業者数は2000年から横ばい傾向となっている。若い世代の割合は増えているものの、定着に課題があるとされ、官民で人材育成などに力を入れていく必要がある。

 十分な手入れがされていない人工林が多いことも、安定供給の妨げになっている。国は19年度、市町村が森林所有者の意向を確認した上で、意欲のある担い手に管理を託す「森林経営管理制度」を設けた。国産材の供給を増やすだけでなく、小規模な森林を集約して管理することで、林業経営の効率化を図る狙いもある。仲介役となる市町村は積極的に役割を果たしてもらいたい。

 二酸化炭素(CO2)を吸収して成長する木材の活用は、脱炭素化に貢献する。公共建築物に用いるなど一層の需要拡大が求められる。特に期待されるのが、強度に優れた新建材・CLT(直交集成板)の活用である。内閣官房の21年7月末時点の調査によると、岡山県はCLTを使った建築物が87件と全国トップだ。中高層の建物へと利用が広がれば、コンクリートなどの建材を木に置き換える「ウッドチェンジ」が大きく進む。

 木を切り出した跡には再び木を植えて、間伐などの手入れを長期間にわたって続けなければ、林業の持続的な成長は望めない。国産材の利用で得られた利益は森林に還元し、滞りがちだった再生産のサイクルを回していくことで、豊富な森林資源を有効に活用していきたい。

(2022年06月19日 08時00分 更新)

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