山陽新聞デジタル|さんデジ

6年前から古墳の草刈りや勉強会…

 6年前から古墳の草刈りや勉強会、測量、地中レーダー探査などを重ねてきた。準備は大詰めらしい。先月の本紙作州ワイド版に、地元の住民グループが今度は発掘作業の予行演習をしたとあった▼真庭市北房地区にある荒木山西塚古墳は、60メートル級の前方後円墳だが詳細は明らかでない。地域の歴史を知りたいと、住民たちが北房文化遺産保存会をつくり、今秋に始まる発掘調査へ向けて張り切っている▼住民が活躍する遺跡調査といえば、岡山県美咲町の月の輪古墳が知られる。神話でない真実の歴史を求めて1953年、地域住民らが故近藤義郎岡山大名誉教授の指導で発掘した。参加者は延べ1万人。映画も作られて全国の注目を集めた▼だが、同様の調査は広がらなかった。文化財保護法の下、行政による遺跡の保護・調査体制が整えられていく半面で、住民が自ら地域の遺跡に関われる機会は遠のいた▼遺跡は行政や研究者だけのものではない。その土地の歴史遺産でもある。どんなに素晴らしい遺跡でも、地元で関心が持たれないようなら意味は乏しい▼荒木山では地域の熱意に応え、同志社大や真庭市が調査体制を整え、学術的な水準を確保しつつ、住民と共に発掘するという。北房の地から「現代の月の輪」ともいえる遺跡と地域、行政、研究者の新しい関わり方が生まれてほしい。

(2022年05月28日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ