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きょうで生誕から122年となる…

 きょうで生誕から122年となる女性の自伝を読んだ。同時代の女性を描いたNHK連続テレビ小説「おしん」にも劣らぬ波乱のドラマが作れそうである▼その人は藤原道子。女性に参政権が認められた1946年の総選挙で当選した、初の女性議員39人の1人である。当時は静岡在住で、結婚して山崎姓だった▼岡山県出身の女性議員の先駆者といえば近藤鶴代らが知られるが、実は道子も県出身。玉野市で生まれ、11歳から働きに出た。勤めた先が本紙の前身、山陽新報の印刷工場だった▼貧しくて勉強が続けられない境遇を嘆いたが、印刷に使う活字(字型)を分類箱に戻す仕事をしながら難しい文字を覚えたそうだ。15歳で上京し、看護師となる。スペイン風邪、関東大震災と相次ぐ災禍の中で救護に当たり、政治への関心を深めたという▼女性問題の解決に尽力した道子の人柄を示す話がある。東南アジアで消息不明になっていた夫が戦後、異国の女性と2人の幼子を連れて帰国。「どこの国の女性も不幸になってほしくない」と道子は離婚を選び、元夫の死後は女性や子どもの面倒をみた▼衆参両院で計26年間、国会議員を務めた道子を同僚だった市川房枝が評している。「貧しい人たち、困っている人たちの味方」。逆境に負けずに生き抜いた82年の生涯が故郷でもっと知られていい。

(2022年05月26日 08時00分 更新)

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