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部活動の改革 地域事情に応じて柔軟に

 公立中学校の運動部活動のあり方を検討するスポーツ庁の有識者会議が、休日の指導を地域や民間の団体に委ねる「地域移行」を来年度から3年間で進める提言案をまとめた。具体的な取り組みなど推進計画の策定を自治体に求めた。休日の移行ができれば、平日も進めるという。

 地域の指導者らが顧問の教諭を手伝うなど地域との連携は従来もあったとはいえ、大きな改革になろう。

 部活動を巡っては、少子化で存続が困難な学校があるのに加え、教員の長時間労働の一因と指摘されている。

 岡山県教委の昨年度の勤務実態調査によると、中学校の1カ月の時間外業務(残業)は平均67時間で、前年度から8時間増えた。働き方改革の重点取り組みで、特に残業が長い中学校は2025年度までに33%以上削減する目標を設定した。部活動の改革により、長時間労働を減らす効果が期待される。

 吹奏楽や合唱など文化系部活動の地域移行も文化庁の有識者会議が検討しており、7月にも提言をまとめる。

 運動部活動の地域移行では、日本中学校体育連盟(中体連)が3月、全国中学校体育大会に総合型地域スポーツクラブなど民間団体の所属で選手が出場できるように参加資格を緩和する案を示した。岡山県中体連も先日、大会のあり方を検討する委員会を来月から開くことを決めた。

 だが、課題はこれにとどまらない。大きな問題は、生徒と保護者の信頼を得られる指導者が見つかるかどうかだ。

 本紙スポーツ面の連載記事「令和のブカツは」が、岡山県教委の地域部活動推進事業のモデル校に選ばれている赤磐市の磐梨中学校で、野球部が毎週日曜、他校の選手にも門戸を開いて練習していることなどを伝えている。

 活動は今年から本格化し、地元のスポーツ少年団の指導者らが手ほどきするという。参考にしてもらいたいが、まだ先進的な事例だろう。

 岡山県、県スポーツ協会などが2月、「部活動改革の方向性を考える」をテーマに開いた研修会でも、県内の競技関係者らから「指導者や財源の確保が課題」などの懸念の声が上がった。

 地域移行の一環として、民間クラブに所属することになれば、家庭の費用負担が増えるのを心配する声もある。スポーツ庁の有識者会議は提言案で、経済的に困窮する家庭に対しては国や自治体の支援を求めたものの、不安は拭えない。

 課題は山積しており、実施に移すには十分な検討が求められる。スポーツ庁は地域移行後も希望する教員が継続して指導できる体制とする意向とされるが、地域移行の受け皿があるかどうかなど事情は地域や競技で大きく異なる。自治体が策定する推進計画では、実情に応じて柔軟な対応ができるような内容にすることが必要だ。

(2022年05月26日 08時00分 更新)

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