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幻の技法・ラスター彩で手水鉢 岡山・オリエント美術館トイレに

金を施したような輝きの手水鉢と、制作した幸兵衛さん
金を施したような輝きの手水鉢と、制作した幸兵衛さん
 「幻の光沢」にうっとり―。中世ペルシャ陶器に用いられ、17世紀末に途絶えたとされる絵付け技法「ラスター彩」を再現した手水(ちょうず)鉢(ばち)5基が、岡山市立オリエント美術館(同市北区天神町)のトイレ内にお目見えした。1979年のオープン以降初めて設置された実用的美術品といい、粋な演出が話題を集めそう。

 ラスター彩は、銀や銅で作った顔料で絵付けした陶器を低温で焼き上げ、金を施したような輝きを放つことで知られる。9世紀ごろに作られ始め、12~13世紀に隆盛を誇ったもののいったん消滅したといわれている。

 手水鉢は直径約50センチの八角形。デザインは美術館の収蔵品などをモチーフにし、イスラム風の12星座やトルコの伝統工芸イズニクタイル風の植物模様を描き、縁は緑がかった青、藍色で彩った。2階男女トイレにそれぞれ3基、2基を置いた。

 作者は技法の復元に尽力した重要無形文化財保持者(人間国宝)の故加藤卓男さんの長男で、陶芸家七代加藤幸兵衛さん(76)=岐阜県多治見市。約5千点の館内コレクションを鑑賞するだけでなく、実用面でも異国気分を味わってもらおうと市が特注した。

 館内には開館記念に卓男さんが寄贈したラスター彩の壁面装飾もあり、親子2代の作品の共演も実現した。幸兵衛さんは「見る角度によって、また水にぬれて変化する美しい輝きを楽しんでほしい」と話す。

 オリエント美術館は4月下旬、大規模改修を経て1年半ぶりに再オープンした。開館は午前9時~午後5時。月曜休館。入場料は一般310円、高校・大学生210円、小中学生100円。

(2022年05月11日 18時42分 更新)

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