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建築家・安藤忠雄さん 直島で講演 類なき挑戦が人を魅了

「他にないものをつくるのは難しいが、それが人を魅了する」と語った安藤さん=4月16日
「他にないものをつくるのは難しいが、それが人を魅了する」と語った安藤さん=4月16日
 春会期開催中の瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)に合わせ、建築家の安藤忠雄さん(80)が、会場の一つ香川県・直島の直島ホールで講演した。3月に開館した「ヴァレーギャラリー」や草創期から関わる島のアート活動について、「世界に類のないものをつくろうという挑戦が、人を引きつけている」と力強く語った。

 安藤さんは直島で、最初のアート施設・ベネッセハウスミュージアム(1992年開館)をはじめ、地中美術館(2004年)、李禹煥(リウファン)美術館(10年)、自身の名を冠した「ANDO MUSEUM」(13年)などを手掛けてきた。

 新作のヴァレーギャラリーは緑豊かな谷あいに立つ、屋根に大胆な切れ目を入れた半屋外式のコンクリート建築。「展示空間はライトアップするのが普通だが、地中美術館と同様に自然光で見せることを考えた」と、風や雨も取り込んで島の呼吸を感じさせる神秘的な空間を実現。「建築には利便性や快適さが求められるが、私はそれよりも心に感動を残す作品をつくりたい」と述べた。

 約30年前、島に美術館をつくる構想を福武總一郎ベネッセアートサイト直島代表から聞いた際には「この小さな島に本当に人が来るのかと思った」と振り返った安藤さん。その後、現代アートの聖地と呼ばれるまで有名になり、「福武さんが言う“ここにしかない”作品や風景を求めて国内外の人が訪れ、島の人たちの目が輝いてきた」と話した。

 新型コロナウイルス禍の中、アートの力を示そうと開かれた今年の瀬戸芸。「芸術は人間の想像力や好奇心を生み出してくれる。自分はずっとアートや人間は面白いと思ってやってきた」。終始エネルギッシュに語る姿は、その力を体現しているようだった。

 講演会はベネッセと瀬戸芸実行委が主催し、約200人が聴いた。

(2022年05月05日 16時26分 更新)

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