山陽新聞デジタル|さんデジ

コロナにも効果 新タイプの活性炭 吉備中央のメーカー開発

満栄工業が開発した新タイプの活性炭
満栄工業が開発した新タイプの活性炭
本社工場にある実験用の炉。本格生産に向け近く専用設備を導入する
本社工場にある実験用の炉。本格生産に向け近く専用設備を導入する
 水や空気の浄化に使われる活性炭を製造する岡山県内のメーカーが、ウイルスなどの吸着性に優れた新タイプの活性炭を開発した。研究機関により新型コロナウイルスへの高い効果も確認しており、防護マスクなどへの利用が見込めるという。

 活性炭は、炭化したヤシ殻、おがくずなどを熱や薬品で処理して全体に微細な穴を開け、さまざまな物質を吸着しやすくしたもの。浄水器や空気清浄器のほか、尿毒症の治療で体内の毒素を除去する飲み薬など医療分野でも用いられている。

 新タイプは満栄工業(吉備中央町下加茂)が開発した。特殊な合成樹脂を炭化させた後、炉に入れて千度近い高温の水蒸気で処理する。直径0・2ミリの小さな球状で、微細な穴があり1グラム当たりの表面積は千~2500平方メートル程度になる。樹脂に添加する成分によって吸着しやすい物質を変えられるほか、ヤシ殻などを原料とする活性炭に比べ穴のサイズを均一にできるため、用途に応じた高い吸着性を持つという。ウイルス用では窒素成分などを添加する。

 岡山理科大(岡山市北区理大町)の森川茂獣医学部教授(微生物学)との共同研究では、新型コロナウイルスを含む液体に新タイプの活性炭を入れたところ、約1時間で99・998%以上のウイルスを吸着し、感染力を失わせる不活化の効果を確認した。同社は「化学物質をコーティングして抗ウイルス効果を持たせた活性炭はあるが、加工なしで吸着、不活化できるものは初めて。環境や身体に悪影響を及ぼさない」とする。特許出願中。

 満栄工業は1948年から活性炭を製造。社会貢献につながる製品を生み出そうと、5年ほど前から開発を進めてきた。防護マスクや動物用の医薬品、飼料の添加剤などへの展開を視野に、関連メーカーにPRしている。現在は実験用の炉で作っているが、本社工場に専用の炉や樹脂合成設備を導入し、来春から本格生産する計画。

 前田貴広社長は「古くから使われてきた活性炭の可能性を広げ、社会に役立つ製品を岡山から発信したい」と話している。

(2022年05月03日 17時38分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ