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広島おりづるタワー 平和願う壁画 アーティスト9人 被爆地から発信

記者会見で作品を解説するこうのさん。壁面にびっしりと般若心経を記している
記者会見で作品を解説するこうのさん。壁面にびっしりと般若心経を記している
ウオールアートが完成したおりづるタワー。右奥に立つのは原爆ドーム
ウオールアートが完成したおりづるタワー。右奥に立つのは原爆ドーム
 世界遺産・原爆ドームに隣接する複合商業施設「おりづるタワー」(広島市中区)の内壁に、戦後100年となる2045年への「願い」をテーマにしたウオールアートが完成した。「この世界の片隅に」などの作品で知られる漫画家こうの史代さんら広島ゆかりのアーティスト9人が9点を制作。ロシアのウクライナ侵攻で世界の秩序が大きく揺らぐ中、被爆地から平和のメッセージを発信する。

 こうのさんのほか、美術作家の若佐慎一さん、世界各国で巨大な壁画を手掛けるSUIKOさんと父親で切り絵・絵本作家の毛利まさみちさんら。建物(13階建て)の東側にあるらせん状スロープの壁面を9層に区切り、それぞれが1層(幅24メートル、高さ4メートル)を担当した。

 オレンジやブルーの梵字(ぼんじ)で壁面にびっしりと般若心経をつづったのは、こうのさん。4月中旬の記者会見では「2045年を生きる誰かに、この一帯に幾多の慰霊の念が込められていたことを記しておきたかった」と説明。プロ野球・広島東洋カープの帽子をかぶったコイやハトを描いて地域色も出した。

 若佐さんは、平和と多様性を主題に7体の招き猫をレインボーカラーで描き分け、ウクライナの国花ヒマワリを添えて反戦を訴えた。SUIKOさんは広島の町に着想を得たカラフルなグラフィティ(落書き)を仕上げたほか、「宇宙のどこかにある平和都市」を表現した毛利さんの制作も支援した。

 他のアーティストは被爆者で洋画家の三浦恒〓さん、土井紀子(きこ)さん(版画家)、田中美紀さん(ビジョンプロジェクター)、山本基(もとい)さん(現代美術作家)、三桝正典さん(美術家)。9人は施設の運営会社の依頼を受け、1月下旬から順次公開制作していた。(〓は左側が「示」右側が「其」)

 作品は4月29日に完成し、「平和を願う広島にふさわしい作品がそろった」と金平京子館長。岡山、香川両県で開催中の瀬戸内国際芸術祭を念頭に「世界で注目される瀬戸内のアートの一翼を担いたい」と話す。

 入館料は大人1700円など。問い合わせは、おりづるタワー事務局(082―569―6803)。

(2022年05月03日 17時37分 更新)

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