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将棋の形勢をAI判断 連盟アプリ 県立大・芝助教らソフト開発

芝世弐助教
芝世弐助教
里見香奈倉敷藤花が、挑戦者の加藤桃子清麗を破った11月の第29期大山名人杯倉敷藤花戦3局目の中継画面。終盤に差し掛かったあたりの形勢判断は、里見倉敷藤花が61%で優位に立っている
里見香奈倉敷藤花が、挑戦者の加藤桃子清麗を破った11月の第29期大山名人杯倉敷藤花戦3局目の中継画面。終盤に差し掛かったあたりの形勢判断は、里見倉敷藤花が61%で優位に立っている
 日本将棋連盟の公式モバイル向け対局観戦アプリ「将棋連盟ライブ中継」に9月から、AI(人工知能)予測による対局中の形勢判断が加わった。新機能を担うのは、岡山県立大情報工学部の芝世弐(せいじ)助教(48)らが開発した将棋ソフト。初心者も勝負の行方を追いやすく、ファン拡大が期待される。芝助教は「将棋界盛り上げの一助になれば」としている。

 アプリではタイトル戦や一般棋戦など女性将棋も含めたプロ対局を毎日3~7局ほど中継し、過去の対局も700局以上見ることができる。2010年に運用を開始し、藤井聡太四冠(19)がデビューから無敗で29連勝を樹立した17年には、利用者が急増したという。

 形勢判断は各対局者名に添えて数値で示され、対局開始のほぼ50%ずつから、1手ごとに変化する。手番の棋士が疑問手、悪手を放てば数値が下がり、相手が上がる仕組みだ。さらにメニューアイコンから「形勢グラフ」を選べば、開始からの数値の推移がグラフ表示され、勝負の流れが分かる。AIによる読みで、現時点から16手先までの最善手も確認できる。

 4年前からコンピューター将棋の研究を始めた芝助教は、手掛けたソフトが世界選手権で優勝するなど、“AI棋界”をリードする一人だ。今回採用されたソフトは神奈川県在住の技術開発者との共同開発で、プロの棋譜など数十億に及ぶ局面を記憶させ、どんな状況にも対応できるようシステムを構築した。

 将棋の評価値は動画配信サービスやテレビ放送でも扱われ、自ら指すよりも観戦が中心の「観(み)る将」という新しいファン層の開拓にもつながった。日本将棋連盟は「情勢が一目で分かれば、より多くの人に楽しんでもらえるはず」と期待する。芝助教は「AIの信頼度が上がったことで将棋を多角的に捉えることが可能になった。今後も将棋の魅力を引き出せるような研究を続けたい」と話している。

(2021年12月30日 20時53分 更新)

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