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認知症の悩み寄り添い10年 家族の会県支部コールセンター

認知症に関する電話相談に応じる相談員
認知症に関する電話相談に応じる相談員
認知症の悩み寄り添い10年 家族の会県支部コールセンター
認知症の悩み寄り添い10年 家族の会県支部コールセンター
 認知症の人と家族の会岡山県支部(岡山市)が運営する「おかやま認知症コールセンター」が開設10年。高齢化の進展で認知症がより身近となる中、介護経験のある相談員らが家族や認知症の本人に寄り添い、累計4700件の悩みに対応してきた。近年は核家族化や少子化の影響もあって介護者1人が全てを抱え込むケースが目立つといい、センターが担う役割の重要性が増している。

 「母がお金をとられたとの妄想を近所に言いふらす」「父が暴言、暴力で施設から退所勧告され、どうしたらいいか」…。相談電話には介護に疲弊した家族の悲痛な声や認知症の本人からの不安が次々と寄せられる。

 センターは2011年6月、県と岡山市の委託を受けて開設。相談員は介護福祉士やケアマネジャーなどの資格を持つ9人で、その多くが介護経験者だ。同市北区南方のきらめきプラザ内にある県支部事務局に平日の日中、交代で2人ずつ常駐し対応している。

 相談は今年11月末までに4774件に上り、医療機関など他の窓口が整備された現在も件数は増加傾向にある。内訳は、症状への対処法が64%で最も多く、次いできょうだい間での意見の相違など家族関係が10%、福祉施設の利用方法など介護保険関連が8%―と続く。

 相談者は6割強が認知症本人の子どもかその配偶者、2割弱が配偶者。この傾向は10年間変わらないが、最近は、子どもがいないか遠方に住んでいて頼れない夫婦による老老介護、独身の子どもが介護、独居の親を離れて暮らす子どもが支える―といったケースが目立つという。

 開設当初から相談員を務める坂本恵子副センター長は「少子化、核家族化、晩婚化といった社会情勢を反映し、手助けしてもらえる親族がいない介護者が1人で思い詰めるケースが増えた」との実感を口にする。

 相談者がせきを切ったように2時間以上話すことも。相談員は「認知症は『合わせ鏡』。強い言葉には強い言葉が返ってくる」などと症状への理解を促しつつ、相手のペースに合わせて傾聴する。「気持ちがすっきりした」と涙を流して感謝する相談者も少なくない。

 「誰にも相談できずに悩む人たちは今後も増えていくだろう」と安藤光徳・県支部代表。県内の認知症患者数(県推計)は7万人余りと10年前(約4万4千人)の1・6倍に増えた。5年後には8万人に上ると推計されており、「センターの役割はますます重くなる。周知に一層力を入れたい」と話している。

 センターの電話番号は086―801―4165。平日午前10時から午後4時まで受け付ける。

(2021年12月20日 20時57分 更新)

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