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真備・復興公園 隈研吾さん語る 「全国防災施設のモデルに」

会見する隈研吾さん
会見する隈研吾さん
公園のイメージ図。中央に竹を使ったゲートを整備する
公園のイメージ図。中央に竹を使ったゲートを整備する
 倉敷市が西日本豪雨で被災した同市真備町地区に整備する「復興防災公園」(仮称)の設計を、建築家の隈研吾さん(67)が手掛けることに決まった。隈さんは11月に現地を訪れ、「地域の皆さんと話をしながら、より磨き上げていきたい」と思いを語った。発言の要旨を紹介する。

 <公園は、小田川と高馬川が交わる同町箭田地区の堤防沿いに建設。2023年度内の完成を目指す>

 「平常時と災害時の機能転換が可能な、復興のシンボルとなる“希望の丘”と考えている。平常時は市民がコミュニティーの中心として利用する。その際に『こんな防災機能がある』と理解し、安全安心を感じてもらう。災害の際には日ごろ使っている施設にすぐに避難してもらう。二つの役割を同時に持っているのが特徴になる」

 <構想では、敷地の中心に真備町地区特産の竹を使った巨大なゲート(屋根)を設置し、周辺に広場や交流スペースを整備。ゲートの軒下には資材を備蓄する倉庫と一時避難所になる建屋を建築し、災害時に備える>

 「公園を大きな円形ととらえ、(核となる)構造物を囲むように施設を置くことで、内外が連動した利用が可能になる。建物と軒下、広場をつないでマルシェを開いたり、防災のワークショップを企画したり、さまざまな使い方ができる」

 「倉庫などはガラス張りで、防災を身近に感じられる。防災施設というと、コンクリートの壁とかいかにも倉庫然したものが多い。今回はガラスの部分が多いため、中の様子が見え、周りで遊びたくなるような開かれた雰囲気を目指している」

 <監修した建物に真庭市産の新建材・CLTを使うなど、岡山との縁も深い隈さん。西日本豪雨後には真備町地区を訪れ、住民と復興に向け意見を交わした>

 「厳しい被災状況を目の当たりにしていたので、デザインの力を通じ少しでも役に立てればと考えた。まちづくりの話を聞く機会もあり、竹という地域素材を使い、家具などの加工品を作っていることに興味を持った。竹は増えすぎて“竹公害”と言われるほど負の要素になっているとされるが、真備ほど積極的に利用している地域を知らない。復興に結びつくヒントをもらった」

 <公園を南北に貫く遊歩道を「希望のミチ」と名付け、川とまちの往来を加速させる役割を期待する>

 「川とまちをつなぐ考え方は、これからの河川敷の施設としては重要と思っている。施設ができることで両者を遮断してはいけない。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町の商店街の再建でも、海と市街地が一体に感じられるように計画した。景観との調和も大きな要素。(住民は)川にマイナスの記憶があるかもしれないが、自然とともに生活してきたことを思い起こせるような建築を作れたら、全国の防災施設のモデルになるのではないか」

 くま・けんご 神奈川県生まれ。東京大大学院を修了し、1990年に隈研吾建築都市設計事務所(東京)を設立。自然素材を生かした建築が特長で、日本建築学会賞、フィンランドの国際木の建築賞などを受賞。東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなった新国立競技場の設計にも携わった。2020年から岡山大特別招聘(しょうへい)教授を務める。

(2021年12月03日 18時58分 更新)

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