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オミクロン株拡大 冷静に見極めて備え急げ

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が、南アフリカなどで確認されてからわずか1週間余で急速に各国へ広がっている。日本でも、成田空港に到着したナミビアの外交官をはじめ、感染が確認されている。

 重症化しやすくなっているかどうかなど詳しい特性はまだ明らかでない。最新の情報を収集して冷静に見極めながら、患者の増加に備えねばならない。

 国立感染症研究所によると、人の細胞に侵入する際の足掛かりとなる表面の突起に変異が約30カ所と際立って多いのが特徴である。感染力の増加やワクチン、抗体薬が効きにくくなる恐れが懸念されている。

 世界保健機関(WHO)は最も警戒度の高い「懸念される変異株(VOC)」に指定し、報告の徹底を求めた。速やかな対応が望まれる。

 日本政府は水際対策を強化し、全世界を対象に外国人の新規入国を禁止した。日本人帰国者らに指定宿泊施設での待機を求める対象国・地域も拡大した。

 入国制限は先月上旬に大幅緩和したばかりだった。岡山県内を含めて、未入国の外国人留学生の受け入れを検討していた大学や専門学校、日本語学校の関係者は落胆を隠せず、技能実習生の到着を待つ企業などにも冷や水を浴びせる形となった。

 とはいえ、変異株の脅威を見誤り、緊急事態宣言の発令、解除を繰り返した菅前政権の失敗を教訓にすれば、先手対応の危機管理はやむを得ない。留学などについては、今後の見通しを迅速、丁寧に伝えることが大切だ。

 水際対策で感染拡大を防ぐ間に、検査や医療の体制を急いで整えるべきなのは言うまでもない。政府は先月、流行の「第6波」に備える対策の全体像をまとめた。医療人材の確保が急務とされ、自治体と医療機関などが協力して取り組むことが欠かせない。

 日米欧の先進7カ国(G7)もオンライン形式で開いた緊急の保健相会合で、連携して対応していくことを確認する共同声明を採択した。6月の保健相会合で途上国へのワクチン供給支援で合意したが、十分に行き渡っていない現状があるという。

 オミクロン株が出現した背景には、こうしたワクチン不足があるとされている。G7でトップ水準の接種率を誇る日本も具体的な支援が求められよう。

 一人一人の対策はこれまでと変わらない。WHOは対人距離の確保や室内の換気などの感染防止策は変異株に対しても有効としている。マスク着用に加え、3密(密閉、密集、密接)を避け、小まめな手洗いや換気も引き続き重要になる。

 ワクチンの3回目の追加接種もきのう、医療従事者を対象に始まった。希望者が迅速に打てるよう政府、自治体は円滑な準備に努めてほしい。

(2021年12月02日 08時00分 更新)

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