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立民新代表に泉氏 政策競う党に変われるか

 立憲民主党はきのう、新しい代表に泉健太氏(47)を選んだ。泉氏は、野党第1党の顔として党の立て直しを急ぐとともに、岸田文雄政権と対峙(たいじ)しながら、政権交代可能な政党への脱皮を担うことになる。注目したい。

 先の衆院選で議席を減らした責任をとり、枝野幸男前代表が辞任したことを受けて代表選が実施された。旧国民民主党出身で保守、中道志向の議員らに推された泉氏は、決選投票でリベラル系グループの支援を受けた逢坂誠二元首相補佐官を退けた。

 枝野氏が敷いたリベラル路線の継承でなく、保守層にもウイングを広げ、政権交代の受け皿へと党を刷新する道が選ばれたと言えよう。

 泉氏は閣僚経験はなく、今回の代表選を戦った4人の中では最年少だが、当選回数は8回と最多だ。旧国民が合流して昨年誕生した立民の代表選に立候補して注目を集めた。立民の政調会長として経験を積み、政策づくりに手腕を発揮してきた。

 「批判ばかりだと国民の課題を取り扱っていないと思われかねない」と強調。「政策提案型の党への転換」を訴えてきた。最大の支持母体である連合が主張する「国民民主との連携」に前向きだったことも、組織内の支持拡大につながったろう。

 ただ、党の再生は容易ではあるまい。代表選では、激変する国際社会の中で、日本が経済や安全保障の面でどう対応していくのか、国内経済再生への道筋、社会保障改革のあり方や憲法改正問題について踏み込んだ論争を聞くことはなかった。

 党内対立を生みかねない政策議論にふたをし、理想論を語り合う場面が目立った。違いを表面化させることを避けて党内融和を優先させるだけでは、政策を強く打ち出すことは難しかろう。

 さらに難問なのが、共産党との共闘についてだ。衆院選は、政権交代を目指して共産などと共通政策を掲げて戦った。選挙が終わったからリセットでは、有権者軽視と捉えられかねない。

 来年の参院選の1人区で野党乱立を避けようとすれば、共産を含めた野党との候補者調整は必要になるだろう。泉氏の調整力が早速、問われることになる。

 一度は政権に就いた旧民主党が分裂して以降、国会議員の合従連衡で地方組織や連合傘下の労組は振り回されてきた。自らの主張を広めてくれる後援会組織づくりや、一人でも多くの地方議員を育てなければ、支持が広がるはずがあるまい。

 巨大与党が長く政権を続けていると、傲慢(ごうまん)になりかねない。健全な民主主義を保つためにも、政権交代可能な野党の存在は不可欠である。立民がその中核であるためには、パフォーマンス頼みで短期の追い風を期待するのでなく、国民目線に立った地道な活動こそ大切にすべきだ。

(2021年12月01日 08時00分 更新)

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