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複数の人との名刺交換 名前と顔が一致しなくなった時は?

新型コロナの新規感染者数が減り、名刺交換する機会が増えてきた(aijiro/stock.adobe.com)
新型コロナの新規感染者数が減り、名刺交換する機会が増えてきた(aijiro/stock.adobe.com)
河村まどかさん
河村まどかさん
 岡山県内の新型コロナウイルスの新規感染者数は第5波の時よりも大幅に減っています。周囲の方々とリモートではなく、直接会うことが増えてきた方もいらっしゃることでしょう。

 通常ならば春の暖かい季節に多くいただく質問を、最近になって受ける機会が増えました。ある新入社員の方から「最近やっと外部の方々と接することが増えてきたので、名刺の受け渡しについて気にかかるようになった」との声を聞きました。また数年勤務なさっている方が、名刺の受け渡しのない部署から春に名刺交換の必要な部署に異動になったため、「今更ながら名刺の受け渡しについて説明をしてほしい」と新入社員研修の講師をしている私に尋ねてくれました。

 このように平時ならば、春に行っておくべき内容を気にかけている社員の皆さんにお目にかかることが、今月は多いように思い、今回は“名刺の受け渡し”のマナーについてお伝えします。

■交換直後の質問はOK

 新入社員から、このような質問がありました。一気に数人と名刺交換をして、その方々が応接間に着席され、緊張していたので、名刺と座っている人の名前が一致しているか自信がない。聞き直してもよいのだろうか? との疑問です。

 聞き直すことは問題ありません。大切なのはタイミング。名刺をいただいた直後の時間であれば、相手に教えてもらうことは失礼に当たりません。
 数名の方々が着席なさった直後に、お座りになっている順番に、自分の座る席のテーブルの上に名刺を並べましょう。その時に、「〇〇様」とお声をかければ、すぐにお相手が名乗り出てくださることでしょう。ちょっと気の利くお相手であれば、席順に名刺を並べようとすれば、親切に名刺の並びを教えてくださることでしょう。
 会話が進み、どうしてもお名前が判明しないと困る事態になり、「失礼ですが・・・」とお声をかけるのは、本当に失礼なことです。失礼なことは言わないのがマナー。前置きの言葉をつけてもマナー違反になります。

■名刺を会話のきっかけに

 名刺をいただいた直後は、相手にもう一度名前を尋ねてもマナー違反にならない、とお伝えしました。さらに一歩踏み込んで、分からないことについて相手に尋ねるだけでなく、相手に興味を持っているという意思を示すため、率先して質問をしてみましょう。

 例えば「名前の読み仮名」について尋ねてみましょう。読み仮名を聞けるのは初対面の時だけです。数回お会いした後に、「今更ながら」と聞くのはあり得ないことと心得ておきましょう。

 名刺に記載してある「住所」について尋ねてみるのもいいですね。名刺に記載された情報は、名刺を受け取ってくださる相手に知ってほしいことです。相手に知ってほしくない情報は、名刺には書かれていないわけですから、相手に興味を持っていることを示すためにも、名刺にの情報をもとに、話しをふくらませてみましょう。

■ジロジロ見るのはマナー違反?

 名刺をじっくり見ることはマナー違反には当たりません。むしろ名刺をじっくり見ることがマナーです。例えば応接間に通された時に、置いてある備品をキョロキョロしながら眺めたり、訪問先の従業員さんが見えるフロアに通された時に、どのような雰囲気の従業員がいるのかを観察しようとしたりする態度は、行儀の悪いとみなされるので気をつけておきましょう。

 従業員を観察するつもりはなかったけれど、思わず遠くにいる従業員と目が合った場合は、遠くであっても会釈をしましょう。私は視力が良い方ではありませんので、相手と目線が合っているのか判明しない時は、人の存在に対してはとりあえず遠くであっても会釈をするように心がけています。相手の業務の妨げにならない程度の簡単なあいさつならば、相手も嫌な気持ちにはならないはずです。

 話を名刺に戻します。複数の方がいらっしゃる場合は、それぞれの名刺にじっくり目を通しながら、相手のご尊顔もじっくり拝見する仕草を何度か繰り返します。相手との会話が終わり、一人の時間になった時にやっと名刺をじっくりと見ながら、“あの席に座っていた人がこの名刺の人だったのかな?”と空想にふけるのではいけません。本人の前で堂々と、一生懸命に相手のことを覚える態度を示しましょう。

 ただし、これほどにネットなどで情報を得ることが容易にできる社会になっており、著名な経営者の方たちに対しては、前もって何も調べていないのも失礼に当たります。その場合には、前もって得た情報をもとに話題作りをする方が賢明であると考えるべき状況もあることでしょう。どの程度までの情報を得ておくべきなのか、迷った場合は社内の方々に相談するなどの対策を取ってください。公人ではない方に対して、調べすぎている会話も相手の気持ちの負担になることが考えられるからです。

 名刺の関する話題はまだまだ尽きません。名刺に関する内容で疑問点などございましたら、ご質問をお寄せください。

     ◇

河村まどか(かわむら・まどか) 礼儀作法教室「ドルチェフィニッシングスクール」を2004年に開校。岡山、東京、山口でマンツーマン指導のほか、国内外の企業や自治体、学校などで講座・講演を行い、実践的な接遇マナーや美しい立ち居振る舞い、クレーム対応などを教えている。NHKなどの番組出演や各地の経済誌・情報誌でのコラム執筆、さらに司会者などとしても活動。座右の銘は「継続は力なり」。山口県出身、1976年生まれ。

(2021年11月30日 15時30分 更新)

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