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倉敷の知的障害者施設 再開手探り 感染予防徹底し制限緩和

活動の再開を進める知的障害者施設。感染予防を徹底しながら手探りで取り組んでいる
活動の再開を進める知的障害者施設。感染予防を徹底しながら手探りで取り組んでいる
 新型コロナウイルス感染症の陽性者が減少傾向にあるのを受け、倉敷市内の知的障害者施設が休止していたサービスと活動の再開を進めている。感染リスク軽減のため接触の機会を減らしてきたが、利用者の要望や家族と職員の負担増に配慮した。関係者は感染予防の徹底を続けながら、手探りで取り組んでいる。

 同市連島町矢柄の障害者支援施設・瀬戸内学園。普段は自宅で暮らす障害がある人を毎週土曜日に預かる「日中一時支援」を6日に再開した。

 日中一時支援は、家族の介護負担を減らすとともに、交流で孤立化を防ぐ目的がある。瀬戸内学園はコロナ感染の拡大に伴い、外部からの人の出入りの増加を懸念。1年以上休止していた。

 感染状況が落ち着いたことや、再開を望む声を受けて実施の形を検討。リスクを減らす配慮をした上での再開を決めた。

 遠藤幸雄園長は「家族や利用者本人が心待ちにしていたと思う」と強調。一方で、今後の感染流行“第6波”を念頭に「再拡大した際に、どこの段階で再び活動を制限するか判断が難しい」と言う。

 社会福祉法人のクムレ(倉敷市栗坂)が運営する障害者支援施設「あしたば」も、宿泊を伴う短期入所(ショートステイ)事業を15日から約1年ぶりに再開した。

 受け入れ準備のため利用者の家族に対し10月に説明会を開催。従来の2人1部屋を個室に変え、食事も部屋で取るなどコロナ対策を示し、理解を求めた。小橋友子管理者は「地域への責任という観点から、長く休むことへの心苦しさもあった。全てを止めるのではなく、活動するにはどうすべきか考える時期に来ている」と話す。

 国内で初の患者が確認されたのは2020年1月。長引くコロナ禍は、施設の運営に大きな影響を及ぼした。

 入所施設は数十人以上の規模で集団生活を送っており、クラスター(感染者集団)の発生が懸念される。知的障害者にはマスクを嫌がる人や、自分の症状を説明できない人もおり、感染した際の対応はより難しくならざるを得ない。そのため、各施設とも一部の事業や催しを中止したほか、入所者の一時帰宅も制限。外出自粛や定期的な検査など職員向けの対策も講じてきた。

 知的障害者・児の家族らでつくる「倉敷市手をつなぐ育成会」の平松教子副会長は「当事者だけでなく、昼夜を問わず見守る職員の負担は限界に来ていた。心の余裕が少しでも生まれれば」と願う。

 制限の緩和は事業以外にも広がっている。社会福祉法人P.P.P.(同市福田町福田)は、昨年4月から休止していた施設清掃など家族会の活動を10月に再開。大学生や専門学校生の実習受け入れも今月から再び始めた。

 一方で、長期化するコロナ禍への不安を訴える声もある。ある施設の関係者は「必要な作業が多すぎて、働きがいを感じにくい環境になっているのでは」と人材の流出を懸念。別の施設の責任者は「じっとして点滴を打ってもらったり、1人で病院にいたりできない場合がある。入院のハードルは高く、適切な治療が受けられるだろうか」と感染者が出た際の医療体制を案じる。

(2021年11月30日 15時21分 更新)

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