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建築の歴史は今、折り返し点にあ…

 建築の歴史は今、折り返し点にあるという。コンクリートや鉄の超高層ビルがもてはやされ、自然から離れた坂を上り続けてきた。それが行き詰まり、自然を生かした木造建築に向けて坂を下ろうとしている▼先週、真庭市での講演で聞いた話だ。語ったのは建築家の隈研吾さん。先の東京五輪のメインスタジアム・国立競技場など、木を多用した建築を次々世に送り出して注目される▼講演した場所は、隈さんが手掛けて7月にお目見えした観光文化発信施設「グリーナブル ヒルゼン」のパビリオン棟「風の葉」だ。木材のまち・真庭市産のCLT(直交集成板)を使った高さ18メートルのオブジェのような建物は、木造建築の復活を象徴する▼観光客らが次々に訪れてにぎわっていた。隣接して店舗があり、特産品や土産物の売り場かと思えば、少し様子が違う。リサイクル素材でできた靴、廃棄する野菜から染料をとった服、地元酒蔵の酒かすを原料にした赤酢、瀬戸内海のカキ殻を活用して育てた地元の米…などが並ぶ▼店はあくまでも「おしゃれで洗練された品として売っている」とのことだが、関係者に聞けば、持続可能な資源循環型の社会を意識しているという▼なるほど、風の葉なども含め、目指すべき近未来を体現する施設なのだと腹に落ちた。そんなひと味違う観光があってもいい。

(2021年11月29日 08時00分 更新)

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