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この地に生きる4(6)津山商高「津商モール」 継続13年 地域に定着

津商モールの準備を進める3年生の中心メンバー=10月29日
津商モールの準備を進める3年生の中心メンバー=10月29日
市中心商店街のソシオ一番街で開いた津商モール。大勢の市民らが買い物に訪れた=2019年11月30日
市中心商店街のソシオ一番街で開いた津商モール。大勢の市民らが買い物に訪れた=2019年11月30日
 生徒が地元企業から商品を仕入れ、地域住民に割安で販売する津山商高(津山市山北)の大規模販売実習「津商モール」。高校生の意欲的な取り組みが人気イベントとして定着し、今年で13年目を迎える。

 昨年は新型コロナウイルス感染拡大で一般販売が中止となった。今年は感染の新たな波が懸念されるが、地域の人たちに手に取ってもらえる実習にするため、27日~12月5日にインターネットでの販売を計画している。

 津商モールを主導する3年生25人を中心に春から準備を開始。今月からは全校生徒470人体制で本格化させ、仕入れ先との交渉方法や販売する商品の選定、PR用の動画制作に取り組んでいる。

 “社長”の地域ビジネス科3年津本侑那さん(18)は「対面販売できないのは残念だけど、ネットなら津山の商品を全国にPRできる。多くの人に魅力を知ってもらうきっかけにしたい」と意気込む。

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 津商モールは、生徒が商売のノウハウやマナーを身に付ける狙いで、2009年から毎年開催。市内約30の企業や商店の協力を得て、生徒が仕入れや販売、会計などすべてを行い、例年約20の出店を運営している。

 野菜、果物、パン、駄菓子、電化製品、キッチン用具、おもちゃ…。販売する商品は多種多様で、生徒たちは地域にどんな会社があり、どのような商品を扱っているのかを知ることができる。地元就職希望者には企業研究の場にもなっている。

 企業や商店は地元の若者に商売の魅力を知ってもらいたいとの思いからサポート。当初は高校生が自分たちの大切な商品を販売することに戸惑いもあったというが、約半数は初回から継続して協賛している。

 「利益の出し方、売り方など経験しないと学べないことがたくさんある」と、生徒を毎年受け入れている久米青果(津山口)。仕入れ担当者を生産現場に案内して農家と交流する機会も提供し、「実習で得た人脈を生かし、地元で働いてほしい」と呼び掛けている。

 イベントは年々充実しており、新型コロナ前の19年はそれまでの会場だった学校を飛び出し、初めて市中心商店街で開催。生徒たちはより実践に近い実習を経験した。

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 津商モールをきっかけに、生徒が地域の魅力を再発見するといった効果も生まれている。

 17年に社長を務めた高知大4年武本莉奈さん(22)は来年4月、岡山にUターンして就職する。背中を押したのが津商モールでの経験だった。

 「企業の人たちは素人の自分たちを快く受け入れて商品まで提供してくれた。地元の優しさに気付かされた」と武本さん。「まずは県南の就職先で社会人として成長を目指す。いずれは県北に戻り恩返しをしたい」

 長年にわたる地域とのつながりが、生徒の郷土愛も育んでいる。

(2021年11月04日 17時34分 更新)

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