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秋の褒章 岡山関係受章者喜びの声

小川洋子さん
小川洋子さん
山本由伸さん
山本由伸さん
原田のどかさん
原田のどかさん
佐藤友祈さん
佐藤友祈さん
 好きなことや得意なことを突き詰めた先に、栄光があった。その陰には計り知れない努力がある。秋の褒章の受章者には、東京五輪・パラリンピックの金メダリストたちも。岡山ゆかりの各界のトップランナーは喜びをかみしめ、次の舞台へ踏み出す。


〈紫綬褒章〉作家 小川洋子さん(59)


 1988年、26歳でデビューし、91年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受け飛躍。記憶や喪失をテーマに、静謐(せいひつ)な筆致で人の心の深層に迫ってきた。岡山市出身の現代日本を代表する作家は、受章の吉報に「好きなものを好きなように書いてきて、ご褒美までいただけた」と顔をほころばせる。

 80分しか記憶が続かない数学者や、小鳥のさえずりを理解する男性。一貫して描くのが、社会の片隅で黙して生きる人々だ。「私が書かなければ、誰にも存在を知られない。小説とは本来、そういう人のためのものではないでしょうか」。本屋大賞、泉鏡花文学賞など数々の賞に輝き、海外でも高く評価される。

 書ける日も書けない日も机に向かい、一行でも書く。小説はその積み重ね。行き詰まった時に思い出すのが、結婚後、倉敷市の自宅台所で人知れず執筆していた日のことだ。膝の上で幼い息子がワープロの画面をのぞき込み、「上手に書けたね」と褒めてくれた。「その記憶をあめ玉のように味わいながら、今も小説を書いています」

〈紫綬褒章〉野球選手 山本由伸さん(23)


 強い決意を胸にマウンドに上がった。「感謝を忘れず、応援してくれる皆さんにエネルギーを届ける」―。新型コロナ禍の中で開催された東京五輪。備前市出身の剛腕は侍ジャパンを悲願の金に導いた立役者だ。

 160キロに迫る速球と切れ味鋭い変化球が代名詞。先発を任された初戦のドミニカ共和国戦、宿敵韓国との準決勝でいずれも力投し、大会ベストナインにも選出された。

 オリックスに入団して5年目。今季は18勝を挙げ、パ・リーグの最多勝、最優秀防御率など4冠を獲得した。球界の若きエースは「さらなる高みを目指す」。25年ぶりのリーグ制覇を果たしたチームを日本一に押し上げ、飛躍の1年を締めくくる。

〈紫綬褒章〉ソフトボール選手 原田のどかさん(30)


 東京五輪で前回実施された北京大会以来13年ぶり2度目の金メダル獲得に貢献した。「この勲章が似合うソフトボール選手、人間にならなくちゃいけない」と受章を謙虚に受け止める。

 総社市出身で、岡山南高時代に女子野球ワールドカップで優勝した経験を持つ外野手。国内屈指の守備力を買われ、全6試合にフル出場した夢舞台では、チーム一の元気印としてグラウンド内外で仲間を鼓舞し、ムードメーカーの役目も果たした。

 「一緒に戦えたことを誇りに思う」。上野由岐子投手らと成し遂げた偉業に「興味がなかった人にもソフトの面白さは伝わったはず」。群馬の名門実業団の中心選手は、これからも全力プレーで競技の魅力を伝えていく。

〈紫綬褒章〉パラ陸上選手 佐藤友祈さん(32)


 6年越しの悲願を達成した。東京パラリンピック陸上男子(車いすT52)400メートルと1500メートルで2冠。両種目で準優勝だった前回2016年大会の雪辱を果たし、「二つの金メダルを通して夢をかなえるパワーを届けられたら」。

 21歳で発症した脊髄炎の影響で車いす生活となり、静岡県の実家に引きこもった。絶望の日々に差し込んだ光がテレビ観戦した12年大会だ。躍動する選手を見て競技を始め、14年からは岡山に拠点を移すと、ついにパラ王者に上り詰めた。

 24年パリ大会で連覇を狙う。コロナ禍で社会全体でさまざまな制約が続く中、「僕らは残された機能を最大限磨いてきた。できないことでなく、できることに目を向ける姿勢を発信していきたい」。

(2021年11月02日 08時28分 更新)

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