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衆院選・ジェンダー 多様性を認め合う社会へ

 政党の努力が足りないと言わざるを得ない。

 政治分野の男女共同参画推進法の施行から3年が過ぎ、初めての衆院選となり、女性候補者が増えるかが注目されていた。しかし、ふたを開けてみれば候補者のうち女性は17・7%で、2017年の前回選挙と同水準だった。

 推進法は候補者数をできる限り男女均等にするよう各党に努力義務を課す。政府は25年までに女性候補者の割合を35%にする目標を掲げるが、遠く及ばない状況である。

 政党別で、政府目標の35%を超えたのは共産党と社民党だけだ。与党の自民党は9・8%、公明党は7・5%と特に低く、野党第1党の立憲民主党も18・3%にとどまる。主要政党の前職には男性が多いという事情があるにせよ、比例代表の枠を活用するなどの工夫もみられず、各党の真剣さは伝わってこない。

 解散前に衆院の女性議員の割合は1割に満たなかった。世界経済フォーラムの21年の男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)で、日本は政治分野で156カ国中、147位に沈む。各党の努力に任せていては進まないのなら、海外で成果を上げる女性割合の義務付けなどに踏み込む必要があろう。男女の不均衡をどうなくしていくのか、各党は今後の対策を示すべきだ。

 今回の衆院選では多様性を巡る政策も争点となっている。公示前に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会では、印象的な場面があった。

 選択的夫婦別姓制度を導入する法案や、LGBTなど性的少数者への理解を増進する法案を来年の通常国会に提出するかを問われ、与野党9党のうち、ただ1人、賛成の手を挙げなかったのは岸田文雄首相(自民党総裁)だった。

 岸田氏は、選択的夫婦別姓制度の早期実現を目指して3月に発足した自民党議員連盟の呼び掛け人に名を連ねている。しかし、討論会では「国民の意識がどこまで進んでいるのかをしっかり考えていくことが重要」と述べるにとどめた。党内に慎重意見があるのを踏まえたためだろう。

 公明は同制度の導入を公約に掲げており、与党内で対応が分かれている。野党は導入に前向きで、公約に盛り込んでいる。

 性的少数者への理解増進に向けては、自民は議員立法の制定を公約に掲げている。しかし、同趣旨の法案は与野党がいったん合意しながら、自民の一部から強い反対があり、今年の通常国会への提出が見送られた経緯がある。自民は党内をどうまとめるかが問われよう。

 公明や野党の多くは、性的少数者への理解促進や差別解消のための立法措置を公約に掲げる。多くの野党は同性婚の法制化にも踏み込む。

 女性のみならず、少数者が生きやすい社会をどうつくっていくのか。政策論争を深め、多様性を認め合う社会への道筋を描きたい。

(2021年10月27日 08時00分 更新)

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