山陽新聞デジタル|さんデジ

衆院選・地方創生 一極集中是正に向き合え

 新型コロナウイルスの対応や疲弊した経済の立て直しは急務だが、このテーマも先送りできない。東京一極集中を是正し、人口減少に対応するための「地方創生」である。

 地方から大都市への人口流出が続けば、半数の自治体が消滅する可能性がある―。民間団体の将来推計が世論に衝撃を与え、2014年に安倍政権が打ち出した。

 政府は15~19年度を第1期と位置付け、移住や企業の移転を税制優遇などで後押しした。自治体も国と連動して人や企業を呼び込む施策を進めてきたが、その成果は乏しいと言わざるを得ない。

 20年の国勢調査速報値で、東京都の人口は5年前の前回から4・1%増と全国最大の伸び率だった。埼玉、千葉、神奈川県を含めた東京圏は計80万8千人増え、国全体の3割を占める。人口のいびつな偏在は、むしろ加速した。

 一方、地方の衰退は目を覆うばかりだ。拠点都市でさえ若者らの流出に歯止めがかからない。岡山県内でも3分の1に当たる9市町は45年までの30年間に人口が4割以上減ると推計されている。住み慣れた地域の存続が現実の問題として危ぶまれている。

 目玉施策だった「政府機関の地方移転」は、文化庁の京都移転にとどまっている。中央省庁の猛反発があったからで、この先も見通せない。

 にもかかわらず衆院選の各党公約からは危機感が全く感じられない。

 安倍、菅両政権が旗を振った地方創生は今回、自民党の公約の柱からも消えた。地方関連の施策としてテレワークの拠点や高速通信網の整備、リモート診療などを並べているものの、看板政策がトーンダウンした感は否めない。

 野党第1党の立憲民主党も柱には据えず、自治体の裁量で使途が決められる一括交付金の新設などを盛り込んでいる。かつて、党の源流となる旧民主党が地域主権改革を政策の「一丁目一番地」に掲げた頃から大幅に後退した。

 コロナ禍は人口が過度に密集する都市のもろさをあぶり出し、地方分散の流れを生みつつある。首都直下地震のリスクも指摘されて久しい。衆院選は、国づくりの根幹となる政策の議論を深める絶好のタイミングでもあるはずだ。

 地方創生を巡っては、国が地方に総合戦略を策定するよう求め、国の審査で交付金の配分を決める仕組みも地方のやる気をそいでいる。

 こうした実情を踏まえ、各政党や候補者は人口減対策と一極集中の是正に正面から向き合うべきだ。論戦を通じて大胆かつ実効性のある施策を競い、強力に実行しなければ地方は立ちゆかなくなる。この選挙では、地方創生に漂う手詰まり感をいかに打破するかも問われている。

 気掛かりなのは、各党が無党派層狙いで都市部重視の運動に傾きつつあることだ。周辺部を軽視するようでは国民の支持は得られまい。

(2021年10月23日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ