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アナウンサーは急きょヘルメット…

 アナウンサーは急きょヘルメットをかぶってニュースを伝えた。水道管の破損やエレベーターでの閉じ込め、転倒による負傷…。列車の脱線や運行停止で帰宅できない人もあふれた▼東京など首都圏で最大震度5強を記録した先日の地震だ。2011年の東日本大震災以来の大きな揺れとなった。テレビに映し出される混乱ぶりに、10年前の記憶がよみがえってきた▼当時、東京支社で勤務していて、取材先の横浜市で大震災に遭遇した。東京都内の職場にも自宅にも帰れず途方に暮れ、気がつけば515万人という帰宅困難者の一人だった。その後も余震が度々起き、緊張が続いた▼思い知ったのは個人の無力さだ。あまりに巨大な東京の都市圏ではいざという時、殺到する人々の中で思うようには避難できないと覚悟した。はるかに大きい揺れが想定される首都直下地震では、途方もない被害となろう▼そんな危機感はないのだろうか。主な政党の衆院選での公約を記したパンフレットに「東京一極集中の是正」はほとんど見当たらない。4年前の前回選挙より関連の記述がむしろ大きく後退した政党もある▼コロナ禍でも過密な東京のもろさが表れた。危険度を高め、地方の衰退も招く一極集中を改めて分散型の国土構造に変える―。国の優先課題として選挙戦できちんと議論してもらいたい。

(2021年10月22日 08時00分 更新)

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