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衆院選・コロナ対策 病床の逼迫防ぐ手だてを

 新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから約1年9カ月になる。緊急事態宣言が繰り返され、国民は不自由を強いられ、経済も疲弊した。

 安倍、菅両政権ではコロナ対策は後手に回り、国民への説明も不十分だった。今夏の「第5波」では想定を超える感染者が発生。病床が逼迫(ひっぱく)し、一時は全国で13万5千人以上が自宅療養を余儀なくされた。首都圏などでは自宅で亡くなる人も相次いだ。

 政治がいかに国民の生活に甚大な影響を与えるものか、コロナ禍を通じて実感した有権者は多かろう。

 英国では先日、議会下院が政府のコロナ対策の検証報告書をまとめた。政府の政策を検証するのは国会の役割だ。しかし、日本では野党が求めた臨時国会の召集に与党が応じず、国会は長らく閉じられていた。

 感染者数が減っている今のうちに政策を検証して次に備えるべきだが、衆院選に突入した。少なくとも政策論争を通じ、問題点を浮き彫りにしなければならない。

 岸田政権は公示前に第6波に備えた医療体制強化など対策の「骨格」を発表した。ウイルスの感染力が今夏の2倍程度となっても対応できるよう、入院患者の受け入れを2割増やすとしている。ただ、具体策は11月に取りまとめるとして先送りした。

 国の権限発動で「公的病院の専用病床をさらに確保する」というが、菅政権も病床を増やすといいながらできなかった。病床確保が難しいのは、必要な医療スタッフの配置が追いつかないからだ。

 第5波では東京都墨田区の取り組みが注目された。保健所を中心に、官民の病院と医師会、薬剤師会が連携することで早期に治療につなぎ、区民の重症者、死者をゼロに抑えた。地域の医療資源を生かし、病床逼迫の再来を防ぐ手だてが急がれる。

 これまで政府は「地域医療構想」として公立・公的病院の統廃合や病床削減を進めてきた。これに対し、野党からは同構想の見直しを訴える声がある。今後も繰り返すとみられるパンデミック(世界的大流行)を踏まえ、中長期的な病院や保健所の在り方についても議論を深めてほしい。

 コロナ禍で厳しさを増す家計に配慮した形で、ほとんどの政党が現金給付策を盛り込んだ。給付の必要性では大筋で同じだが、対象や内容で違いがある。各党は財源の裏付けも示す必要がある。

 有権者が知りたいのは現金給付にとどまらず、経済を動かしていく道筋だろう。ワクチン接種証明や検査の陰性証明の提示を求める実証実験が一部地域で始まった。こうした手法を全国に広げていく是非も問われる。陰性証明を活用するには、PCR検査などの体制拡充も欠かせない。

 感染を抑えつつ、経済活動を正常化させる道筋を各党は具体的に示してもらいたい。

(2021年10月21日 08時00分 更新)

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