山陽新聞デジタル|さんデジ

衆院選公示 地方創生の具体策も競え

 第49回衆院選が公示され、31日の投開票に向けた戦いが始まった。4年ぶりの総選挙は、新型コロナウイルス禍で初の大型国政選挙でもある。

 岸田文雄首相の就任からわずか10日後の解散、そこから17日後の投開票はいずれも戦後最短と異例の短期決戦だ。自民、公明党の連立政権が続くのか、野党が政権交代を果たせるのかが焦点となる。

 昨年からのコロナ禍で政治状況は激変した。政府の対応は後手に回り、説明不足も重なって信頼が揺らいだ。その中で、首相は歴代最長の安倍晋三氏から菅義偉氏、岸田氏へと交代した。岸田首相自身が「功罪あった」と認める安倍・菅政治をどう継承し、変革するのかが問われる。

 野党は前回2017年衆院選で東京都知事が関わる新党の出現などで混乱に陥り、惨敗した。今回は立憲民主、共産、国民民主、社民、れいわ新選組の5党で共闘を進め、約210の選挙区で候補者を一本化。与党と一騎打ちの構図に持ち込んだ。

 有権者が判断する上で何より重要なのが政策論争である。当面の課題はコロナ対策と経済の立て直しだ。医療体制の整備、国産ワクチンや治療薬の開発といった直接の対策に加え、与野党とも数十兆円規模の補正予算編成や現金給付を掲げる。野党側は消費税減税も打ち出している。

 自民が「分厚い中間層の再構築」、立民は「1億総中流社会の復活」と共に分配重視の経済政策を示す中、「ばらまき合戦」の様相を呈しているのは否めない。財源の裏付けを含めた責任ある主張を示さねばならない。

 米中対立が続く中での外交・安全保障政策にどう取り組むのか。原発を含むエネルギー政策や憲法問題など、今後の国の針路を左右するテーマが山積する。政治とカネの問題、選択的夫婦別姓への対応など争点は多い。

 各党から主張があまり聞こえてこないのが地方政策である。コロナ禍は人口が多い大都市の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにした。いびつな東京一極集中を見直す契機となるはずなのに残念だ。少子高齢化に苦しむ地方に残された時間は限られている。地方創生を言葉だけでなく、各党は具体策で競ってもらいたい。

 共同通信社が衆院解散を受けて実施した世論調査(第1回トレンド調査)で、望ましい選挙結果として「与党と野党の勢力が伯仲」が45・2%と最も多かった。自民支持層でも33・8%が「伯仲」を選ぶ一方、比例代表の投票先は自民(29・6%)と立民(9・7%)で差がつく。与野党とも足元を固め切れていない状況が浮き彫りとなった。

 短期決戦という状況もあり、選挙戦への関心が高まっているとはいえない。各政党や候補者は活発で具体的な論戦を通じ、国民の関心を高める必要がある。有権者には各党の主張を十分に吟味し、判断することが求められる。

(2021年10月20日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ