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高梁川が紡ぐ四季 素隠居(倉敷市美観地区) 笑顔運ぶ「じじ」「ばば」

「じじ」「ばば」の面を着け、美観地区を練り歩く保存会のメンバーや子どもたち=16日
「じじ」「ばば」の面を着け、美観地区を練り歩く保存会のメンバーや子どもたち=16日
うちわで道行く人をあおぐ子どもたち=16日
うちわで道行く人をあおぐ子どもたち=16日
 昼下がりの倉敷市美観地区。面を着けた紺色の小袖と灰色のももひき姿の集団が現れた。「いいことがありますように」。元気に声を掛けながら、道行く人を渋うちわであおいでいく。

 16日、阿智神社(同市本町)の秋季例大祭に合わせて行われた伝統行事「素隠居(すいんきょ)」だ。新型コロナウイルス禍で同祭は縮小されたが、倉敷素隠居保存会のメンバーや子どもら約50人が参加し、伝統の灯を守った。

 素隠居は、江戸時代に同神社の前身・妙見宮の祭りに、老夫婦が店の若者に面をかぶらせて代理を務めさせたのが始まりとされる。うちわで頭をたたかれると御利益があると言われ、祭りの日などに、保存会のメンバーらが「じじ」「ばば」の面を着けて美観地区や商店街を歩く。

 1980年代にはなり手が減り、保存会もメンバー不足で休眠状態となったが、会員の尽力で91年に再興。現在の会員数は約100人・団体で、参加する子どもも増えている。

 今年の中心になったのも子どもたち。身にまとった衣装は、保存会が昨年新調した。次世代に継承しようと、あえて子ども用を多く作ったという。感染対策で“エアたたき”だったが、子どもたちが駆け寄ると観光客らから笑みがこぼれた。

 「倉敷のみんなを笑顔にできる魔法だと思った」と、初めて素隠居になった中洲小6年女子(11)。天城小5年男子(10)も「素隠居を誇りに思う。周りの人ももっと知って、参加してほしい」と喜んでいた。

 保存会の小田晃弘事務局長(57)は「コロナ禍で迷ったが地域の人に喜んでもらえ、やって良かった。子どもたちの記憶に残り、大人になって素隠居の未来を担ってもらえたらうれしい」と話した。

(2021年10月18日 20時02分 更新)

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