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この地に生きる4・プロローグ まちづくり参画活発化

ナイトミュージアムを盛り上げようと明るく来館者を案内する城下ハイスクールのメンバー=8月12日、つやま自然のふしぎ館
ナイトミュージアムを盛り上げようと明るく来館者を案内する城下ハイスクールのメンバー=8月12日、つやま自然のふしぎ館
高校生が出店交渉から運営まで全てを手掛けた「うまいもん商店街」=2019年12月21日、ソシオ一番街
高校生が出店交渉から運営まで全てを手掛けた「うまいもん商店街」=2019年12月21日、ソシオ一番街
 「私たちが考えたクイズラリーです」「入り口はこちら。楽しんできてください」

 8月12日。つやま自然のふしぎ館(津山市山下)で開催中のナイトミュージアムに明るく来館者を迎える高校生たちの姿があった。市中心部・城下地区の活性化に取り組む市内全6高、高専の生徒による「城下ハイスクール」のメンバー。照明を落とした館内を懐中電灯を頼りに巡る恒例イベントを盛り上げる演出を用意し、当日の運営もサポートした。

 同スクールは、地域の未来を担う高校生に街の将来を考えてもらう狙いで地元のまちづくり団体が呼び掛け、昨年12月に発足した。3月には同館で小学生向けツアーも開催。どちらにも参加した美作高2年女子生徒(16)は「小学生たちが楽しんでくれてうれしかった。今はにぎわいが少なく寂しいが、みんなが帰って来たい街にするため、これからも盛り上げたい」と話す。

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 <地域に貢献できる人間になりたい><地元の魅力をPRして活性化したい>

 美作地域では今、地域への熱い思いを胸にまちづくりに参画する高校生の活動が活発化している。

 津山市の中心商店街で地域の特産や名産を一堂に集めて販売する「うまいもん商店街」もその一つ。2019、20年に各1回開き、地域の高校生が出店交渉から当日の運営まで全てを手掛けた。今年も11月の開催に向け、5高の約20人が準備を進めている。

 地域の新たな担い手として期待が高まる高校生だが、生徒数の減少は深刻だ。平成の大合併があった05年度、美作エリアには17高があり7549人が在籍していた。しかし少子高齢化や高校の統廃合が進み、20年度は10高5430人と3割近く減った。

 進学や就職で若者が一気に地域外に流出する「18歳の崖」も追い打ちを掛ける。国勢調査によると、05年には10~14歳が約1万2千人いたが、10年後に当たる15年の20~24歳は約8千人しかおらず約35%減少。大学進学や就職で4千人以上が流出したとみられる。

 津山広域事務組合による高校生の就職意識調査を見ても、15年度までは40%程度だった岡山県外志望者が、近年は約45%と増えている。

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 こうした現状を打開する方策の一つとして注目されているのが、主に高校で広がっている「地域学」だ。課題解決型の授業を通じて地域を知り、愛着を深めることで地元定着や将来のUターンが期待されている。

 美作地域では林野高の「マイドリームプロジェクト」や真庭高の「真庭トライ&リポート」を先駆けに、17年には津山市内の県立4高による連携講座もスタート。高校生と地域の連携は、生徒が居住地や公私立、専門の枠を超えて参加する城下ハイスクールやうまいもん商店街にも広がりを見せている。

 連携講座を指導する美作大の武田英樹准教授(社会福祉政策)は「地域学を通じ、生徒は自分と地域の関係性を考え、住民の熱い気持ちを受け取ることで地元に活躍の場があることに気付く。住民も高校生から活気をもらう。その相乗効果が地域を活性化させる大きな力になる」と強調する。

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 県美作県民局と山陽新聞津山支社が、美作地域の活性化を目指して若者たちの活躍を支援する「みま咲く未来プロジェクト」。3年目の21年度は、高校生による地域連携の取り組みにスポットを当てた企画を作州ワイド版で展開する。

(2021年10月15日 11時14分 更新)

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