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「頭痛持ち」の対策 岡山大学大学院脳神経内科 山下徹氏

山下徹氏
山下徹氏
図1. 抗CGRP受容体抗体と抗CGRP抗体の作用機序
図1. 抗CGRP受容体抗体と抗CGRP抗体の作用機序
 紙上講座第7回目(最終回)は脳卒中と頭痛をテーマに最新の知見を紹介します。

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 いわゆる「頭痛持ち」と呼ばれる頭痛は、同じような頭痛が繰り返し起きる慢性頭痛に分類されます。代表的なものとして片頭痛や筋緊張性頭痛、群発頭痛が挙げられます。片頭痛は、ズキズキと脈打つような拍動性の頭痛が特徴で、筋緊張性頭痛は肩こりからくるような首から頭までの痛みで、締め付けるような痛みがあります。群発頭痛は20~30歳台男性に発症することが多く、毎日ほぼ決まった時間に片方の目の奥が激しく痛むのが特徴です。

 この中でも特に片頭痛は、いったん起こると1~2日寝込んでしまうこともあるなど、生活や仕事に支障をきたす場面も多く、適切な予防や治療が重要です。頭痛を予防する観点からは、生活面の工夫をすることもとても大切で、例えば片頭痛は規則正しい生活を心がけ、チーズや赤ワイン、チョコレートなどを避けることで予防できることがあります。また強い光や食べ過ぎ、過度の空腹なども片頭痛の誘因となることが知られています。一方、筋緊張性頭痛は、精神的なストレスで増悪することが多く、猫背や慢性的な肩こりの合併も多く認めます。対処法として、マッサージやお風呂にゆったりと浸かる、ストレッチする、散歩するなどの運動を通してリラックスすることが重要です。

 片頭痛の薬としては、頓挫薬と予防薬があり、頓挫薬としては主にトリプタン製剤が使われ、頭痛発作早期に飲むことで頭痛を短い時間で改善させることができます。また予防薬としてはカルシウム拮抗薬、β遮断薬や抗てんかん薬などが従来使われてきました。また今年から片頭痛の原因の一つであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を抑制する新たな予防薬が登場して大変注目を集めています。このCGRPは三叉神経から放出され、脳血管の平滑筋細胞表面のCGRP受容体に結合すると血管拡張や炎症をおこし、片頭痛発作を引き起こすことが分かってきています(図1)。このCGRP自体またはCGRP受容体に結合することでCGRPの働きを阻害できる抗体を用いた3種類の注射薬が日本では現在使用可能です。それぞれの注射薬の効果はほぼ同等で、発作頻度を半分以下にできる可能性が約50%程度と報告されています。患者さんによって個人差はありますが、難治性片頭痛の患者さんでも発作を大幅に減らすことができる場合もあります。片頭痛発作が月に2~4回以上ある方は一度、近くの脳神経内科を受診することをお勧めします。

(2021年10月16日 15時56分 更新)

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